映画・海外ドラマ・本　ひとこと言いた～い

みなさん、こんばんは。関東梅雨入りしましたね。

​映画ザ・ウォール​を見ました。

ザ・ウォール
THE WALL

監督
ダグ・リーマン

出演
アーロン・テイラー＝ジョンソン　ジョン・シナ


2007年のイラクの砂漠。とあるパイプラインの建設現場で、救助要請を受け派遣された米軍の狙撃手マシューズと観測手アイザック。がれきの中に潜む敵を狙っていた二人のうち、様子を確かめようとしたマシューズが思わぬ場所から狙撃される。援護に向かったアイザックも撃たれて負傷し、何とか壁の背後に退避するが、動けなくなってしまう。そこへ仲間を名乗る男からアイザックに無線が入るが、彼はその声に違和感を覚える。声の主は、“死に神”と恐れられるイラクのスナイパー、ジューバでは？膝に被弾したアイザックは必死で廃墟の壁に身を隠すが…。

　イラク戦争で大勢のアメリカ兵を葬った実在のスナイパー、ジューバの標的となった兵士の攻防を描く。90分。見渡す限り砂漠でラスト近くに救援の兵士が来るが、ほとんどアイザックとジューバの二人芝居で舞台にもできそうだ。地の利は圧倒的にジューバにあるが、物量作戦でアメリカが攻め込めば一瞬のうちに勝負がつくはずだ。なのにアイザックたちの前に来た者達も、アイザックを支援しに来た者達も、たった一人、瓦礫に隠れている姿なきスナイパーに翻弄される。

　ジューバ賢い！とラストで思わず膝を打ってしまった。同盟国アメリカを支援する日本国民ならば、憎むべきスナイパーであるはずなのに。味方もいなさそうなのに、たった一人で必要な情報を引き出し、心理戦をやってのけるその知能に痺れた。ニックネームは死の天使だそうだが、想像したのはアリジゴクだ。次々とやってくるアメリカ兵を食い物にしては、罠をしかけてじっと砂漠で待ち続ける。

　ジューバ「お前らアメリカ人は物事を全てお見通しだと思ってる。物事は単純だと思ってる。俺は敵だと。だが俺達は―俺とお前はそう大した違いはない。You Americans. You think you know it all. You think it's simple. That I am your enemy. But we are not so different, you and I. 」
アイザック「いや、俺はテロリストじゃないeah, 'cept I ain't a fuckin' terrorist. 」
ジューバ「じゃあ何だと？お前は他所の国に来て自分を装ってる。俺に言わせればお前こそがテロリストだ。And you think I am? You are the one who has come to another man's country. Camouflaged yourself in his land, in his soil. From where I'm sitting, *you* look very much like the terrorist. 」
ジューバの台詞として出て来るが、正義という概念はアイザックの前の壁のように、少しの刺激でがらがらと崩れてしまう。アメリカからすればジューバは同胞を何人も殺した憎き仇なのだがイラク兵からすればアメリカ兵こそが他所の土地にやってきて自国民を殺しまくる死神に他ならない。辛うじて二者を分ける壁が崩壊した時、正義を誰が決めるのか。神の声は生憎砂漠に届かない。

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