映画・海外ドラマ・本　ひとこと言いた～い

みなさん、こんばんは。漫画家の水島新司さんが引退を表明したとか。
今日からクリスチャン・ベール出演映画を紹介します。
映画​バイスを見ました。

バイス
Vice

監督＆脚本
アダム・マッケイ

アカデミーメイクアップ＆ヘアスタイリング賞

出演
クリスチャン・ベイル　スティーヴ・カレル　エイミー・アダムス　サム・ロックウェル
ナオミ・ワッツ　アルフレッド・モリーナ

　1960年代半ば、酒癖の悪い電気工ディック・チェイニーは、恋人のリンに激怒され、彼女を失望させないことを誓う。その後、下院議員のドナルド・ラムズフェルドのもとで働きながら政治のイロハを学んだチェイニーは、権力の中に自分の居場所を見いだす。そして頭角を現し大統領首席補佐官、国防長官になったチェイニーは、ジョージ・W・ブッシュ政権で副大統領に就任する。

　夜、飲酒運転を咎められた若者が“外に出ろ”と言われる。登場するのはまだ増量前の若者姿のクリスチャン・ベール。ディック・チェイニーだ。

　場面は飛んで、2001年9月11日。ワールド・トレード・センターのテロの日。でっぷり肥ったチェイニー副大統領が地下室へスタッフと急ぐ。大統領の姿はないが、チェイニーがスタッフに指示を出している所にラムズフェルド国防長官から電話がかかってくる。「飛行機が飛んで来たらどうすればいいか？」「飛んでくるものは敵と看做せ」即座に撃墜命令が出される。これは大統領の命令を待たずに出されたものだ。なぜ酔っぱらいの兵役にも入っていない演説下手男が、これだけ権力を振るえるようになったのか。

　一つの理由は良妻賢母のリン。ディックはイエールを中退(のちワイオミング大に編入)したが、彼女は文学士、文学修士、文学博士と立て続けに取得。逮捕されたディックを二度も引き取りに行き「ちゃんとしないなら別れる！」と宣言して喝を入れたり、演説の下手な彼に変わって周囲へのアピールを担当。

　もう一つの理由は彼を副大統領として担いだ神輿＝大統領がジョージ・W・ブッシュだったから。息子ブッシュは初登場時、ホワイトハウスに酔っ払って現れる。この時から大いなるドラ息子の匂いがぷんぷんしている。が、このお坊ちゃまが政界引退を決めていた彼を引っ張り出す。ただし、大統領候補として現れた時も、大企業のCEOという安定した職を棄ててくれと頼むにしては、誘い方が軽い軽い。
ブッシュ「Whaddaya say?... I want you to be my VP. I want you, you're ma vice. 」
チェイニー「Well, George, I, uh... I'm a CEO... of a large company. And I have been Secretary of Defense... and I have been White House Chief of Staff. The Vice Presidency is a mostly symbolic job. 」
ブッシュ「Uh-huh. 」
チェイニーHowever, if we came to a, uh... different... understanding... I can handle the more mundane... jobs. Overseeing bureaucracy... military... energy... and, uh... foreign policy. 」
ブッシュ「 That sounds good! 」

　「静かなる男にこそ警戒せよ。他の人が話している間、彼はじっと見ている。そして他の人が動く時、彼は計画し、他人が休んだ時に、彼は攻撃する。Beware the quiet man. For while others speak, he watches. And while others act, he plans. And when they finally rest... he strikes. 」出典不明の諺の如く生きてきた彼が、よくこの博打に乗ったものだ。よほど彼を操れる自信があったのか。

　政界引退を決めたチェイニーが家族と暮らす様子が数行のテロップで流れた後、エンドクレジットまで流れるギャグあり（実は映画はここで真ん中でまだ続く）、ナオミ・ワッツがニュースキャスターとして繰り返しチェイニーのニュースを流したり、コメディ要素を挿入しつつ、ニクソンからオバマまで米国大統領史を駆け抜ける。パウエルといいブッシュ大統領といい本人に激似のメーキャップが素晴らしい。原題ViceはVice-President＝副の意味もあるがもう一つ悪の意味もかけている。


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