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February 5, 2021
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みなさん、こんばんは。
『刑事コロンボ』『ジェシカおばさんの事件簿』等の作品でクリエイターを務めたウィリアム・リンクが87歳で亡くなりましたね。

今日はヘニング・マンケルのヴァランダーシリーズ最終作を紹介します。

苦悩する男 上下
Den orolige mannen
ヘニング・マンケル
創元推理文庫

エピローグはなくても良かった。事件はその前に解決していたし、その方が「老いていろいろポンコツになっているかつては名を残した名刑事が最後の事件も無事解決したのだった」という、よくあるおさまりの良い話になった。だが、マンケルはそれをしなかった。

 エピローグはその名の通り、後日談を書いている。事件解決後の当事者たちのあれやこれや、そしてヴァランダーの最後まで書いている。最期ではない。が、生涯刑事であることでしか生きられなかった彼にとっては、最後=最期である。

 今回の彼は満身創痍だった。開巻当時、ヴァランダーは59歳で娘リンダは37歳になっている。だが途中で60歳になる。のっけから、酔っ払って立ち寄った食堂で拳銃を忘れるというポカを仕出かす。骨折もする。殴り合いをしたわけでもないのに歯も折れる。今までの不摂生がたたった糖尿病により昏倒までする。これが最大のピンチだと思っていたら、更なる危機が待ち受けていた。自分が自分の最大の敵になるのだ。

 それでも彼は、家族のために立ち上がる。正確には娘とその孫のためだ。失踪したのは娘のパートナーの父親、次いで母親まで失踪する。トラブルを抱えたヴァランダーが捜査の第一線に立てるわけもない。それでも彼は、折れた牙を磨き再び立ち上がる。探るうちに浮かんでくるのは、第二次大戦後北欧の一国スウェーデンが、東西冷戦の狭間で生き抜くために苦闘した歴史だ。苦悩する男はヴァランダーであり、この作品を生み出したマンケルだ。もう一つ加えるなら、国も男性詞なので、スウェーデンもまた苦悩する男である。

 こんな彼は見たくないという読者もいるだろう。前作霜の降りる前にでイースタ署勤務となったヴァランダーの娘リンダとの親子鷹を楽しみにしていた読者も多いはずだ。しかし著者の急逝によって本作が最後になった。死期がわかっていたからこそ、ヴァランダーのとことん最期を書いたのか。死後、誰かによって描かれるのを阻止するために。もしそうなら、これほど愛情を持って描かれた主人公はいない。



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最終更新日  July 29, 2021 12:09:19 AM
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