映画・海外ドラマ・本　ひとこと言いた～い

みなさん、こんばんは。ＮＴＴから接待を受けた総務省の谷脇康彦総務審議官に対する事実上の更迭処分。あれだけ値下げにリキ入ってたのにね、菅総理。
さて、今日はミステリを紹介します。

果てしなき輝きの果てに
Long bright river
リズ・ムーア
竹内 要江 (翻訳)
ハヤカワ・ポケット・ミステリ・ブックス

荒廃するケンジントンのパトロール警官ミッキーは線路脇でドラッグ中毒者の遺体が発見されたとの報せに現場へ赴く。かつて厳しい祖母の元で共に育った妹ケイシーだと思ったのだ。全くの別人だったが、依然としてケイシーの行方はわからない。そうこうするうち似たような事件が起きて…。

　主人公である彼女は刑事ではな地域の治安を守るお巡りさんだ。事件に関心を抱いて上層部に訴えるが、中毒者の事件を解決したいわけではない。妹を探したい個人的な目的に基づいており、よって彼女は“謎解きを楽しむ”探偵役にはならない。そのため本作は本格ミステリとは一味違う。

　本作はミッキーの物語だ。息子を預けるベビーシッターのいい加減さに悩んだり、両親共に薬物中毒だったことから一族からつまはじきにされていたりと、足を引っ張る要素が強い。優しくしてくれる元パートナーについふらふらっと傾いたかと思えば疑ったり、「だから女は」などと言われそうなキャラクターだ。過去パートにおいては、クスリに溺れてゆく妹に対して「守らなきゃ」「自分だけはしっかりしなきゃ」という長女気質が優った、やや堅苦しい青春時代が描かれる。堅物の彼女がなぜシングルマザーに？という疑問が当然湧くが、その答えは過去を追う事で明かされる。

　日本でも最近芸能人を中心に逮捕が相次いでいるが、米国では一般市民の間に薬物が蔓延している。狭い日本でさえも取り締まり切れないのだから、国境を接している国からも入るルートがあり、倍以上の国土を持つ米国は、防ぎきらないのだろう。そして問題は取り締まる側である警察にも、ドラッグルートが密かに存在していることだ。一方で取り締まりながら、一方で旨味を得ている。だから麻薬犯罪はなくならない。

　もう一つ本作で強調されていたのは、母親が麻薬に犯されていると、胎内にいる子供にまで影響が及ぶ点だ。生まれた時から薬漬けになっている子供に選択肢はない。避けられるハンデを知らないうちに背負わされた子供をこれ以上生んではならないというメッセージが感じられる。

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