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カテゴリ:海外のミステリー&ファンタジー小説
みなさん、こんばんは。大規模接種が17日始まりましたね。
今日もフレッド・ヴァルガス作品を紹介します。 裏返しの男 L’Homme A Lenvers フレッド・ヴァルガス 創元推理文庫 冒頭はアルプスで話し合っている男二人。そのうちの一人でグリズリーと狼の研究家ローレンスは、何と狼一匹一匹に名前をつけている(シートンか)。更に禁じられていることだが、餌を獲れない狼にこっそり与えてもいる。研究対象としてもちょっと入れ込みすぎじゃないか。そんな時、羊がかみ殺される事件が相次ぎ、ローレンスはある男を狼男&犯人呼ばわりする。ちなみに狼男には毛が無いそうだ。じゃあなんで月夜の晩にあの姿になるか。それは本書でお確かめを。 さて一方、我らがアダムスベルグ警視は、その気もないのに初めての殺人をして女性に狙われる。更に、とあるテレビで忘れようとしても思い出せない元カノカミーユを見かけて以来、狼に取りつかれてしまう。そんな場合じゃない自分の身を守ろうよアダムスベルグ。そんな事を言ってもダメ。何せ彼は 「アダムスベルグの考えは気体、液体、固体のどれでもない、何か判然としないものだった。ただ判然としないだけでなく、何の脈絡もなく別の考えについたり離れたりする。そして、ダングラールが研ぎ澄まされた精神で選別し、分類し、並べ替え、整然と結論を導き出すのに対して、アダムスベルグは分析を混同し、踏むべき段階を逆に踏み、一貫性などそっちのけで風と戯れ、最後には例の緩慢な動きで混沌から真実を引き出す。アダムスベルグにはアダムスベルグだけの論理があるのだろう。狂人と天才もそうだ。ダングラールはもう何年も前からアダムスベルグに対して賛嘆と混乱の両極端に引き裂かれて右往左往し、それでもかろうじて平衡を保ってきた。」 だから。不憫だダングラール。なんか前夜徹夜して試験勉強した秀才の横を、爆睡した天才が満点かっさらっていくイメージ。 そんなアダムスベルグの思い人カミーユもちょっとカワリモノだ。事のなりゆきで狼男&犯人説を信じる二人組と追跡行をする羽目になるが、そんな優秀な警官と知り合いなら頼んでくれと頼まれた時のカミーユのアダムスベルグ評がこれ。 「もうすっかり関係なくなった過去の、命のない重いぼろっきれを動かすなんて、鬱陶しい。出がけにガス栓を閉め忘れたかなと思って引き返すときの、あのうんざりした気持。無駄な回り道、骨折り損のくたびれもうけ。焼け跡を通るときの疲労困憊の感覚。」 可哀想アダムスベルグ。それでもさほどショックを受けた様子を見せず捜査にあたる彼の先にあるものは希望かそれとも。以下本巻(当たり前だ)。 裏返しの男 (創元推理文庫) [ フレッド・ヴァルガス ]楽天ブックス お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
June 26, 2021 12:14:19 AM
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