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May 25, 2021
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みなさん、こんばんは。さざ波発言の内閣参与退職しましたね。
今日もヘンリー・ジェイムズ作品を紹介します。

ヘンリー・ジェイムズ作品集 (5) 黄金の盃
The Golen Bowl
国書刊行会

アメリーゴ公爵は、アメリカの富豪アダム・ヴァーヴァーの娘であるマギーと結婚することになり、かつて恋仲だったシャーロットが友人でもあるマギーへの結婚祝いとして贈る品選びにつきあう。美術品店で一つの水晶から作られ、金箔で飾り付けられている「黄金の盃」を見せられ、シャーロットは考える時間が欲しいと美術商に盃を取り置いてもらうことにした。しかしアメリーゴは彼女が気づかなかった、盃についたかすかな傷を見つけていた。

 やがてアダムはシャーロットにプロポーズし、かつての恋人たちは義母と義理の息子という間柄になる。3年後のロンドン、アメリーゴとシャーロットは互いの伴侶をよそに、いつも2人で出歩くようになっていた。結婚する前よりも親密になっていく二人の仲を心配するファニー・アシンガム夫人だったが…。

 主としてマギー視点の映画を先に視聴。その際は、親友で義母のシャーロットとアメリーゴの不倫を知りながら、誰も傷つけないために全てを胸の内に納めるマギーの賢さが際立っていた。マギーにブルネットのケイト・ベッキンセイル、シャーロットにブロンドのユマ・サーマンがキャスティングされていたのも、“金髪より黒髪・ブルネットの女性の方が賢い”という映画の中の定説を踏襲していた。

 ところが原作を読むと、不倫をしたシャーロットが一方的に悪いとは言えない。そもそもシャーロットとの結婚をマギーに勧められたアダムはこんな事を考えている。
「彼はまた、そのような新しい関係をむすぶと、マギーを、マギー自身の結婚によって―これは避けがたい事であるが―失ったという考えを、はっきりした形にすることになる。また彼はそのために損害をこうむり、少なくとも不便を感じたので、何かの形でその埋めあわせをしなければならないという考えを、はっきりした形にすることになる。」

「彼はマギーの気持を楽にしてやらねばならない。そのためには彼は結婚して未来の設計をたてねばならないのであるが、それが同時に彼女のためにもなるのであった。そしてその結婚が、マギー自身の結婚に劣らぬよいものでなければならないのは、いうまでもない。」

つまり、自分がシャーロットを好きで結婚したいのではなく、マギーのために結婚しなければならないというのだ。
「彼はこの際、シャーロットが役に立つだろうとは思っていた。しかし何のためにやくだつかは、わからなかった。それがすべてはっきりしてきて、今のところ何もすることのないこの婦人を、娘のためにやくだてるのが賢明だと考えたとき、あたりの涼しい闇がまた彼をとりまいたが、心の明るさは変わらなかった。」

娘の役に立つ相手だからといって自分の結婚相手を選ぶアダムが、本当にシャーロットを愛し、真の彼女を理解できるとは思えない。マギーに至っては
「お父さまが私と結婚していた時には、売物にはなりませんでした。あるいはむしろ私がお父さまと結婚をしていたので、知らず知らずのうちに私はほかの女の人たちを遠ざけていたのかもしれません。だからお父さまは誰とでも、どんな女性とでも結婚してよいのです。」

とまで言っている。この場合の“結婚”はもちろんプラトニックな意味だが、自身が娘というより妻のポジションにいた自覚はあるようだ。

 つまりシャーロットとアメリーゴが気のいいヴァ―ヴァ―父娘を騙していたというよりは、彼等が社会的に“父娘”として見られたいがために、二人を利用していたという見方もできる。マギーとアメリーゴとの間に子供がいるので、マギーはアダムの娘としてではなく次の段階に進まねばならない。よって二組の夫婦はいびつな関係を脱することになる。ヘンリー・ジェイムズの他の作品に違わず、歴史のないアメリカ人が、歴史はあるが現実を生き抜く財力と胆力を持たないヨーロッパの人達を転がしてゆく作品である。


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最終更新日  May 25, 2021 12:00:19 AM
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