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カテゴリ:その他のジャンルの海外小説
みなさんこんばんは。水泳の池江選手にオリンピック辞退するようTLが来ているとか。本人の気持ちを尊重したいですね。
今日もヘンリー・ジェイムズ作品を紹介します。 ヘンリー・ジェイムズ作品集 (2) ポイントンの蒐集品 メイジーの知ったこと 檻の中 The Spoils of Poynton/When Maisie Knew/In the Cage 国書刊行会 冒頭でヘンリー・ジェイムズ作品が長くなる理由について書かれていた。 「主人公の心理的特質にある。彼の小説の男女の登場人物は、その育ちのせいか、階級的偽善か、生来の恥ずかしがりやからか、社交的遠慮深さによるのか、あるいは作者の感情的萎縮の繁栄か、とにかく自分の気持の表現を、相手の理解可能なすれすれの限界の、その少し手前のところでやめてしまう、という奇怪な特質がある。」 いやほんとその通り。既出作品で主人公達は、自分の気持ちを言う、或いは相手の気持ちを確かめる前に、何度となく回りくどい言い方をする。結果読者は「ここでストレートに言えば、問題は解決するのに!」と思いながらも、じれじれしながら物語を追うしかない。 相手の気持ちを確かめないために、「あの人はきっとこう思っているに違いない」と主人公は妄想を育てがちだ。例えば『檻の中』の電報郵便局に勤めている名前なきヒロインは、やんごとなき人達が頼みに来る電報の文言を業務上垣間見る。文字通り“垣間見て”いるに過ぎないのに、彼女は彼等が考えていることやバックグラウンドまで逞しい想像力で思い描き、それが本当の事だとほぼ確信している。そしてとうとう気になっているレディ・ブラディーンと恋仲の紳士エヴァラードを、何とか助けようとする。当然エヴァラードは、電報局のいち職員にすぎない彼女はアウトオブ眼中。しかし、ある日彼女は自分が助けようとしている事を本人に打ち明けるどころか、自分の婚約者に「私はあの人達を助ける約束をしたから、それまで結婚できません!」と宣言。これを許してくれる婚約者は何と寛大なんだろうと思っていたが、もしかしたら彼は彼女の妄想癖を見越して、実体の掴めない恋愛騒動の行く末が、彼女の言うほど大事でないと判断していたのかもしれない。 『ボイントンの蒐集品』のゲレス夫人は、夫亡き後ボイントンの調度品を守ってきたが、夫の遺言で、ボイントンの館も調度品も全て息子オーエンに残される。そしてオーエンは、およそ趣味がよいとはいえない(ゲレス夫人の主観)女性モナ・ブリグストックと結婚しそうなのだ。気が気でないゲレス夫人は、母に死なれ牧師補と結婚しそうな妹しか身寄りがない、かつ自分と同じ審美眼を持っているフリーダ・ヴェッチに 「でも、結局のところ、ねえ、あなたはあの子と結婚するでしょう、ね、もしあの娘さえそこにいなかったら?勿論もしあの子が求婚してきたら、ということだけど」 と誘いをかける。フリーダは密かにオーエンに恋していたものの、 「もしあの人から求婚してくれば結婚するか、とおっしゃるんですか?はっきりと、お断りです」 と、本心とは裏腹の事を言ってしまう。尚も念押ししてゲレス夫人が 「ボイントンが手に入るとしても、お断りだというの?」 と尋ねるのに 「ボイントンが手に入ってもお断りです。あの人があまりにも馬鹿だからです!」 と、あちゃーな返事。これぞまさに冒頭に紹介したジェイムズ作品の特徴である。豪華な調度品への執着と恋心がもつれにもつれる点が『アスパンの恋文』と共通している。 『メイジーが知ったこと』ジェイムズ作品には珍しく子供が主人公。両親の離婚で、一年の半分を父親、母親のもとで過ごす取り決めになるメイジーは 「娘は、両親が烈しく打ち合う羽子板の羽根だった。」 が見事に言い当てている如く、人なのにモノ扱い。それぞれが再婚してパートナーが出来、むしろ血のつながりのない人の方がメイジーを気遣っているのに、満足な教育すら受けられない始末。再婚相手の間をたらい回しされる間に、大人の喜ぶような事を言う癖がつく。その結果“化物”呼ばわりされるが、彼女はアンファン・テリブルになるわけではない。本編中では成長後の姿が描かれないだけに、彼女の今後が心配だ。『ある婦人の肖像』のイザベルとはおそらく対極の人間になるだろう。なお、現代に舞台が移った映画版ではハッピーエンドになっているらしい。それはそれでヘンリー・ジェイムズらしくないというか。 ヘンリー・ジェイムズ作品集(2) ポイントンの蒐集品/メイジーの知ったこと/檻の中 [ ヘンリ・ジェームズ ]楽天ブックス お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
June 1, 2021 06:34:49 AM
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