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カテゴリ:海外のミステリー&ファンタジー小説
みなさん、こんばんは。
東急ハンズ池袋店が9月に閉店とか。よく行ってたのに残念です。 今日はミステリを紹介します。 金蠅 (ハヤカワ・ミステリ 386) The Cases of The Golden Fly エドマンド・クリスピン ハヤカワ・ポケット・ミステリ・ブックス オックスフォード大学セント・クリストファ学寮の第二中庭の南側全部を占めるジャーヴァス・フェンの部屋で、妻のドリー、新聞記者ナイジェル、警察署長サー・リチャード・フリーマン、オクスフォード・レパトリー劇場で上演する芝居「詩作狂」の作者で劇作家のロバート・ウォーナーが老教授ウィルクスの幽霊話を聞いていた。学寮で男の幽霊が夜な夜な人を脅かすという。 「なにしろ、問題は人を殺すということで、それがどんな殺し方になるかということは別だ。殺人は殺人を呼ぶものなんだ。だから、いつか、なんらかの方法で」 その時銃声が響き、かけつけた人の前には額の真ん中に黒い穴をあけられた女優イズー・ハスケルの姿が。 列車に御用心でも列車描写が多かったクリスピン。今回も 「イギリスの各地からやってくる貨物列車の線路は大混雑で、藻の海のまん中に、神話の潮流が行方不明になった船を運んできてつくる島を思わせる。」 「おまけに、田舎の墓地で昔みられたヴァルプルギスの夜祭りを思わせるような、材木と金属の引き裂ける音まで聞こえる。」 「そのそばで機関車は亡霊のような執拗さで動こうとしない。突発的な悲鳴をあげ、死体愛好の歓喜にうなってみせる。はげしい疼くような抑圧感が迫ってくる。」 「これでは地獄へ渡る三途の川の渡し舟が流れの途中で立ち往生し、死者は冥土へ進むことも、浮世へ引き返すこともできないといった有様である。」 まるで生き物であるかのような機関車とこの世でないかのような凄まじい駅の混雑が描かれる。 列車の中に英文学の教授ジャーヴィス・フェン、演出家シーラ・マックゴー、劇作家ロバート・ウォーナー、新聞記者ナイジェル、警察署長サー・リチャード・フリーマンが乗っていて殺人現場となるオックスフォードへやってくる。 「あんな女は殺したって平気だよ」 「いやな女。自惚れて、利己的な女。あの女さえいなければ…もし誰かがひと思いに…」 列車の中から特定の人物に対する敵意が複数人物から語られ、その通りに人が殺される筋立ては、クリスティ作品でもお馴染みだ。敵意が複数であるため、いずれも加害者になる動機を持つ。斬り込んでいくのは素人探偵ジャーヴィス・フェンで、警察署長フリーマンとはお互いの専門のことで侃々諤々議論を戦わせる間柄というのがユニーク。 兼業で映画音楽の作曲家もやっているエドマンド・クリスピンの大学在学中のデビュー作。 時代が古いこともあって脱字などが目立つ点が残念。探偵が大学教授で舞台が大学であるため、シェイクスピアへの言及が多い。 2009年に英国ガーディアン紙が発表した、「英ガーディアン紙が選ぶ必読小説1000冊」選出。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
June 2, 2021 12:00:20 AM
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