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みなさん、こんばんは。スケボーで初代金メダリストが誕生しましたね。スケートボード女子ストリートで13歳の西矢椛が金、中山楓奈が銅メダルを獲得。西矢に至っては日本史上最年少というオマケ付きだそうです。今日も火坂雅志さんの小説を紹介します。

伊賀の影法師
火坂雅志
廣済堂出版


天正9年、織田信長は4万を超える大軍で伊賀の国を攻め、伊賀者と老人、女子供まで手当りしだい殺りくした。国を離れており難を逃れた伊賀忍者の一人舞十蔵は、一門一党が虐殺され、妹千鳥が陵辱されかつ惨殺された事を知り、信長への復讐を心に誓う。信長軍の執拗な伊賀の残党狩りから逃れ堺に辿り着いた十蔵は、堺一の鉄砲作り蜉蝣の道庵を知り、必殺の三連発銃を入手。遂に信長狙撃のチャンスが訪れる。

　火坂氏はこれまでに「覇商の門」「信長の密使　異聞・桶狭間の合戦」で信長を登場させている。国のあり方に対する考え方などを見ても、信長がそれまでの時代とは違った感覚を持つ男だったことが見てとれる。題材として惹かれる人物なのだろう。時の朝廷が「生かしておくべきではないもの」と信長をマークしたという本能寺陰謀説が信ぴょう性を持って浮かんでくる。

　本書で信長殺害を目論む十蔵に助力する謎の美女、敵対する勢力が登場するが、彼はその助けを断る。あるいは、そうしていれば、もっと楽に早く仇討ちができるチャンスがあったかもしれない。しかし、そうすれば自分は信長と同じ事をすることになる。自分独りの力でなく、他の強大な力でもって相手を制することを。やはり著者は、あくまでも個対個の対決を潔しと認めたのだ。

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