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カテゴリ:その他のジャンルの海外小説
みなさん、こんばんは。ノーベル化学賞受賞の根岸英一さんが亡くなりましたね。若草物語で知られるルイザ・メイ・オルコットが煽情小説を書いていたことを知っていますか?本日はその作品を紹介します。
仮面の陰に あるいは女の力 (ルリユール叢書) Behind a Mask,or A Woman’s Power ルイザ・メイ・オルコット 幻戯書房 『若草物語』のルイザ・メイ・オルコットが書いた煽情(すごいなこの文字、煽るんだ情!ってカンジで)小説。スリラーとも書いてあったけど、別に誰かを再起不能にするわけでもないからなぁ。違うと思う。 マーチ家がテーマの作品を読んだことがあるが、あのお堅い世渡り下手のおとーさんから生まれた子がこういうのを描くのは、生まれた時から教えられてきた倫理観とかいろんなものをボキボキ折ってきたんだろうなぁ…と思う一方、まあ、プロなんだからオーダーに応じるのもある程度大事だよね、とも。それで頑張ったんだねぇ。 ガヴァネスとして娘一人、息子二人の家にやってきたジーン・ミュアは、瞬く間に兄弟どころかもう一人の相手も虜にする。これが「あら、私ったら、そんなつもりじゃなかったのに~」という言葉通りだったら、薄幸な少女が幸せを掴む韓ドラみたいだが、実は「そんなつもり」まんまんだ。そんな女性はえてして本性を見抜いた同性に嫌われるものであり、そこは王道に沿っている。男性陣はかえって儚げな外見にノックアウト。頼られれば大いに張り切ってしまう。こうなると悪女がのしあがってゆく別タイプの韓ドラみたい。ちょろすぎるぜボーイズ。 ただ、とことん悪女ものとも思えないのは、彼女のエクスキューズを手紙という形で全部残してそれを見るチャンスを相手に与えていることだ。あくまでもタイミングでこうなったけれど、別の道もあったんだよ、と示しているのは、つまりは逃げ道を残している。それに途中でどうしても言いたくなった一言を言っている。つまりパーフェクトな悪女ではない。根底にあるのはガヴァネスや有力な係累のない女性に対する社会の蔑視の視線だったらしいけど、現代感覚なら思惑なんぞ何も言わないで、彼女が去った後で、皆が「実はこうだったんだ!」と悔しがる方が締まりがよかったろうに。それとも、当時の感覚ではこれまでやったことで十分悪女だったのだろうか。 仮面の陰に あるいは女の力 (ルリユール叢書 ルリユール叢書) [ ルイザ・メイ・オルコット ]楽天ブックス お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
September 13, 2021 12:00:20 AM
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