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みなさん、こんばんは。　ＪリーグＪ１Ｇ大阪トップチームで複数名の新型コロナウイルス感染症の陽性判定が出たことにより、５日にサンガスタジアムで開催予定だったＪ１京都とのプレシーズンマッチの中止を発表し、Ｇ大阪はトップチームの活動を一時休止するそうです。
今日は兵庫県の有名人が主人公の小説を紹介します。

帆神: 北前船を馳せた男・工楽松右衛門​
玉岡かおる
新潮社

本編は高砂出身の発明家、工楽松右衛門の生涯について書かれている。おそらく加古川、高砂という地名を聞いてもぴんと来ない読者が多数いるはずだ。だから松右衛門の名前を知らない人の方が多い。彼が出会った相手の方が遥かに有名人だ。尚、松右衛門自体は司馬遼太郎の『菜の花の沖』に登場する。

　資料が残されていないので、人生の空白部分や性格を自由に描ける。玉岡氏は彼の人生の節目で出会う千鳥、小浪、津祢、八知という四人の女性を通じて、彼がどのようにして苦難を乗り越えていったかを描く。生涯の恋人と思い定めながら、タイミングが悪く遂に結ばれなかった千鳥。お互いに傷心の時に出会ったものの、やはり結ばれず、しかし後にその子供を養子とする小浪。親子ほど年の離れた最初の妻津祢、最初の不幸な結婚の後に彼と出会い、商才を発揮する二度目の妻八知。それぞれにくっきりと分かれたキャラクターのヒロイン達も魅力的だ。ちなみに玉岡氏の男性主人公作品は今回が初めてなので、女性ヒロインの多彩な描き方は自家薬籠中の物であろう。

　貧しい漁師の息子が船頭になり、船持ち船頭として一家を成すだけでも大した出世だが、彼の才能は船乗りだけに留まらなかった。帆布に不満を抱いていた彼は、何と自分で丈夫な帆布「松右衛門帆」の織り上げに成功し、独り占めせずに全国に普及させる。幕府から択捉島にドック建設を依頼された事から高田屋嘉兵衛や近藤重蔵と知り合う。お歳暮の定番である新巻鮭を考案したのも松右衛門だと言われる。帆布もそうだが、様々な発明をしながらも、決して独り占めにしようとせず、公共の利益のために惜しげもなく提供する姿勢が素晴らしい。


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