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July 19, 2022
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みなさんこんばんは。
4月に96歳になったエリザベス英女王は、存命中の君主として世界最高齢ですが、「生涯を国民にささげる」と誓った通り、生前退位の考えはないとみられています。その一方、長男チャールズ皇太子に重要な公務を移譲するなど、「代替わり」への準備も進めています。
今日は中国に実際にいた墨家たちの活躍を描いた歴史小説を紹介します。

墨攻
酒見賢一
新潮社

前、県立神奈川近代文学館にて、養老孟司氏の講演会がありました。
当館で開催している「収蔵コレクション 中島敦文庫」にちなんだ行事です。その中で、氏は中島氏の文章をこう評していました。「過不足のない文体」だと。はっとしました。酒見氏のこの本を読んで感じた事をまさに言い当てていたからです。
だからこそ、本書が中島敦文学賞をもらった時に、「この本より他に賞に相応しい本はないだろう」と思ったのです。

 ほぼ同時期に著書を読み始めた人として、宮城谷昌光氏がいます。彼の文章は、酒見氏の逆です。ものや人の描写に、正にこの言葉しかないだろう、という言葉を当ててきます。漢字の成り立ち、文字に関心を持ってきた彼ならでは。

 ある花があるとします。宮城谷氏は「ふくいくとした香りを放つ」など花の色、がく、花びらについて適格な言葉を持ってきます。酒見氏の場合、あまり語りません。下手すると花びらの事も語らないかもしれません。でもそれまでえんえん続いてきた描写の中で、受け取る読者側が書いていない花びらや香りの事まで思い至る事ができる。
二人の文章の違いをそんな風に捕えています。

 本書は戦国時代の小国・梁に墨子教団から派遣された革離が大国趙の軍勢2万に立ち向かう様を描きます。
ラストがこう締めくくられています。
彼のような職業的戦術家は墨家にはごろごろしていた。書物がとくに名を
とどめるべき人物ではなかったのである。

 この人一人が死のうと大した事ないじゃん、というニュアンスです。しかし、素人集団の中で孤軍奮闘し、やがて自らの技術で皆を心服させていく様をずっと見てきた読者は、「いや、それはないでしょう。もうちょっと何か言い方があるでしょう。」と反論したくなるわけです。

 酒見氏はことさらに美談に仕立て上げたわけではないんです。契約を交わした限りは職人に徹して黙々と仕事をする革離のあるがままを描いただけ。それだけでこういう気持ちになったのは、文章で語られなかったもののうちに、何か心を動かすものを読み取ったからではないか。そして、なまじ語られないだけに、もどかしさと悔しさがあいまって、「人一人くらい切り捨ててしまおう」というのとは反対の思い-彼は決して取るに足らない存在なんかではない-が、心の中でより一層大きなものに育つのではないだろうかと。

 酒見氏は天の邪鬼です。「絶対あなたはこう考えているだろう。」と思っていても、ストレートに聞きません。その本心を言わせようと、わざと逆の事を言って挑発します。
防御を得意とした墨子の戦いに、あえて「墨攻」と名付けたのも全然素直じゃない。
意地悪だなぁ、と思います。いつもまんまと狙った通りの事を思わされてしまうので、憎たらしい。しかしそう言いつつ著書を読んでしまう読者もまた、相当の天の邪鬼かもしれません。


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最終更新日  July 19, 2022 12:00:23 AM
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