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September 26, 2022
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みなさん、こんばんは。大相撲は玉鷲が最年長で平幕優勝しました。
今日から2日間横溝正史作品を紹介します。

深夜の魔術師​(横溝正史探偵小説コレクション)
横溝正史
出版芸術社

コナン・ドイルの「シャーロックホームズ最後の挨拶」や、クリスティのポアロもの「総理大臣失踪事件」「謎の盗難事件」にも戦争は出てくるし、探偵達は愛国心に燃えていた。でもそこに描かれていた第一次大戦は、自分、ひいては日本とはあまり関係がないものとして認識して遠くにあった。だから、この本を読んだ時のような居心地の悪さはなかった。

本編収録作は国策的執筆依頼を受けるようになって以降書かれたものである。だから、「見たところ支那のそういう階級の女としては小奇麗で、身だしなみもよく」(広東の鸚鵡)「ビルマ人といっても馬鹿になりません。あれでなかなか悧巧だし」(神兵東より来る)など、今から見るととても恥ずかしい描写があり、「神兵東より来る」では、ビルマ人がラングーンにいるビルマ人をイギリスの圧政から救うために日本軍がやって来るのを心待ちにしていたり、南方の島の住人に「日本人達が生きていた間は極楽だったが、白い悪魔(白人)が乗り込んで来てからは、世界中で一番惨めな地獄になった」と言わせている。

戦後教育を受けた身で、これとは違う実情を知っているから、余計恥ずかしく思えるのだろう。だが、書いた氏を糾弾したいとは思わない。解説で、彼が盧溝橋事件で自由にものが書けなくなる不安で嘔吐した旨を読んだからだ。もちろん、とことんまで国策的執筆に抵抗してその結果干されてしまった作家の方がよほど険しい道を選んでいる。けれど「書く事は天職である。書く事は好きだ。書きたい」という思いと、「生きていくためには、書きたくないものを書かなければならない。」という理想と相反する現実の狭間で、苦しみながら書いていた氏もまた、辛かっただろうと思いやれる。だから比較的「お国のため」という意識の薄い表題作が、一番安心して読めた。少年を読者対象にしているので、探偵ものを読み慣れている大人だったら、大概途中で犯人のめどはついてしまうだろう。由里先生と三津木俊助シリーズもので、あわやの危機あり、暗号あり、少年の活躍ありの冒険活劇で、国家意識を離れた所で読み進む事ができ、楽しめた。また、国策上の作品であるといっても、いずれもが戦意高揚を前面に出したものではなく、戦時中において個性を出した「玄米食夫人」や、健気な少女の「慰問文」などは、幾分薄まっていた。

氏が苦しみつつ書く反面、彼に命じる人たちはどんな顔をしていただろうかと考えてみたら、嬉々として「全国の学校で国歌を斉唱させる事が仕事。」と答えていた人の顔が浮かんできた。戦後、あの時の氏のような思いを、どの作家も二度と感じる事なく自由な執筆活動を続けられたはずだが、最近風向きが変わりつつあるのだろうか。娯楽作を多数書いている赤川次郎氏が、最近の作品「さすらい」では言論統制を避けて国外脱出する作家を主人公に据え、国の方向に警鐘を鳴らす文章をエッセイに載せている。



『中古』深夜の魔術師 (横溝正史探偵小説コレクション)​​KSC






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最終更新日  September 26, 2022 12:00:30 AM
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