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October 7, 2022
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みなさん、こんばんは。ことしのノーベル文学賞にみずからの体験をもとにした数多くの自伝小説を発表してきたフランスの作家、アニー・エルノー氏が選ばれました。今日から2日間ゾラの作品を紹介します。

パリ(上) (エクス・リブリス・クラシックス)
Paris
エミールゾラ
竹中のぞみ訳

政治は腐敗、無政府主義やテロが横行し、ブルジョワが隆盛を極め、労働者は貧困に喘ぐ十九世紀末のパリ。その悪徳と矛盾の町を見下ろすように、モンマルトルの丘ではサクレ=クール寺院の建設が急ピッチで進められている。ピエールはデュヴィヤール男爵夫人エヴにラヴーヴを施設に入れる許可を求めるが、フォンセーグ代議士を訪ねるよう言われる。議会に行ったピエールはアフリカ鉄道事件で騒然とした議会の様子に気圧される。やがて男爵邸で爆弾が爆発し、ピエールは現場で化学者の兄ギョームを目撃する。

 ゾラが書き綴ったルーゴン・マッカールのその後の時代を描く三都市双書『ルルド』『ローマ』に続く第三巻。二つの都市を巡った主人公ピエール・フロマンは
「ルルドに赴いて、ひざまずいて祈る子供の素朴な信仰を、またおのれの無知からくる恐怖におののいている未熟な民族の原始的な信仰を捜し求めた。しかし、ルルドで目にしたのは不条理の賛美と常識の衰退ばかりだったのでいっそう強い反撥を感じ、今日の人類と諸国民の救済と安寧はこのような子供じみた理性の放棄によっては絶対に得られないと確信するに至った。それから次には、愛したいという欲求にとらわれて―そうはいっても気難しい理性は頭を離れることはなかったがー、第二の実験を思い立ち、自分の心の最後の平安をこの実験に賭けようとローマに赴いた。そしてカトリシズムははたして再生できるのか、黎明期のキリスト教の精神に立ち戻って民主主義国の宗教となり得るのか、根底から覆され瀕死の状態にあるこの現代世界が、癒されて生き延びていくために待ち望んでいる信仰となり得るのかを見極めようとした。だがローマで目にしたのは瓦礫だけだった。新たな春を迎えることのできない朽ちた樹木の幹だけだった。崩壊寸前の古い社会的機構がめりめりときしんでいた。」

どちらの都市でも救いを見つけられず、結局パリに戻ってくる。しかしパリで慈善に精を出しても、結局貧しい者と富める者の差はなくならない。

 ナポレオンの帝政が倒れ、民衆による政治が行われることで、以前の欠点は全てなくなるはずであったが、そうならないのが社会というものだ。結局デュヴィヤール男爵をはじめとする新興ブルジョアジーが幅をきかせ、彼らに雇用される者への保障-社会保障の部分はキリスト教や篤志家の慈善に頼るしかない。富める者が貧しい者を助けるという仕組みは成立しない。富める者は更に富と、さらには栄誉を求めて上へ上へ。一方貧者はじっと手を見て下を向く。

 ゾラが描くパリは、出版よりほんの四~五年前の事であり、疑獄事件にもテロにもモデルがいる。『民衆の声』紙の編集長サニエが暴露したアフリカ鉄道事件は、パナマ事件がベースであり、サニエは反ユダヤ主義を掲げた新聞ラ・リーブル・パロール紙の編集長ドリュモン、買収された共和派新聞グローブ紙の社長で代議士でもあるフォンセーダは、賄賂を受け取ったル・タン紙社長エヴラールがモデルである。読者は勿論モデルをわかった上で半分ノンフィクションとして読んだのではなかろうか。

 宗教が人を救う道であると思ってきたピエールが最後に見つけた答えとは。下巻に続く。


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最終更新日  October 7, 2022 12:00:26 AM
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