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October 8, 2022
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みなさん、こんばんは。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の若田光一飛行士ら4人が乗る米スペースXの宇宙船「ドラゴン」がフロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げられましたね。宇宙船は予定の軌道に入り、打ち上げは成功。5回目となる若田さんの宇宙飛行は日本人の最多、最年長記録だそうです。今日もゾラの作品を紹介します。

パリ(下) (エクス・リブリス・クラシックス)
Paris
エミールゾラ
訳竹中のぞみ

下巻は、ブーローニュの森にサルヴァを追う警察がやって来る所から始まる。森にはバルデスに国外追放をどう告げたものかと悩むギョームとピエール兄弟、別れ話がもつれているエヴとジェラール、エヴの息子イヴサントに迫るド・アルト大公夫人らも来ていた。

新興ブルジョアジー代表のデュヴィヤール男爵家は、モンフェランら政治家を除けばヒエラルキーのトップに立つ。しかし、金持ちであっても決して幸せではない、というゾラのブルジョアジー観が反映された一家になっている。娘カミーユは半ば意地で母エヴの愛人ジェラールと結婚すると宣言し、エヴは悲嘆にくれる。一方、男爵にも愛人の女優シルヴィアーヌがいた。エヴの息子イヴサントはド・アルト大公夫人に迫られながらも、本気で女性と恋に落ちる気がなさそうだ。カミーユとジェラールの、一方による強引な結婚は、事もあろうに爆破犯サルヴァの処刑翌日に行われる。

 万民を等しく処刑するとして登場したギロチンも、すっかり市民権を得ている。マリー・アントワネットの頃もそうだったが、サルヴァの処刑日にもシルヴィアーヌが取り巻きを連れてやってくる。人ひとりが処刑されるというのに、まるでショーだ。ピエールと、爆弾の入手先である自分の事を黙って死んでいくサルヴァを見つめるギョームだけが深刻な表情で処刑を見つめる。しかし一方でピエールは、サルヴァが持ち込んだ爆弾が、ブルジョアジーの一家の誰かではなく、偶々通りがかった帽子屋の使い走りをしていた少女を直撃した場面をいつまでも覚えている。テロに至る庶民の憤りは理解できても、同じ庶民がとばっちりを受けることもありうるならば、テロ行為に正義はない。ロシアによるウクライナ侵攻で、多くの市民が犠牲になった現実と重ねて見られる。

 さて、上巻で
「慈善は金持ちの気晴らしにすぎず、役にもたたないまやかし物」
だとして、袋小路に入ってしまったピエールは、ギョームに引き取られた知り合いの若い娘マリーに恋する。年齢的には不都合はないものの、マリーはずっとギョームの家で暮らしていて、彼の息子達ともよい関係を築き、年齢は離れていてもギョームと結婚するものと皆に見られていたのだった。マリーも実はピエールに惹かれていた。

 さあここで三角関係ドロドロの愛憎劇にしないのがゾラのいい所だが、若干ピエールの「彼女の事は好きだが兄に申し訳ない!」と悩む場面が長い。現代小説ならばもっとスピード感を持ってもいい。

 宗教の代わりにピエールが見つけた答えは科学である。
「科学が、やつらの昔からの支配力を一掃するだろう、やつらのあの大聖堂は、指ひとつ触れなくても、真理の嵐で吹き倒されるだろう。実験済みだ。イエスの教えは今では時代遅れの社会規範になって、そのうちのいくつかの教訓的箴言しか人間の知恵は記憶にとどめていない。古びたカトリシズムは至るところからぼろぼろに崩れてきている、カトリックのローマはもはや瓦礫の山となり、人々はそこから顔をそむけ、こんな死の宗教ではなくて別の宗教を望んでいる。」
ギョームとピエールの父の友人で科学者のベルトロワも
「ただ科学のみが革命を成し遂げることができるのだ。科学がもたらすのは真理だけではない。科学の力を借りれば正義をも生み出すことができるのだ。正義がいつかこの世で実現可能ならば、の話だがね」
と述べる。

 1900年に開かれたパリ万国博覧会でグラン・パレとプティ・パレが建てられ、アレクサンドル3世橋、高さ100メートルの観覧車「グランド・ルー・ド・パリ」、動く歩道など近代化や科学文明の発展を世界に示し「フランスは戦争ではなく技術革新で世界をリードする」と信じていたゾラの想いが強く感じられた。


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最終更新日  October 10, 2022 12:02:00 AM
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