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みなさんこんばんは。女優の本仮屋ユイカさんが体調不良により芸能活動を一時休養することを発表しました。
今日は事故で家族を失った少年の物語を紹介します。

エドワードへの手紙​
Dear Edward
アン・ナポリターノ
桑原 洋子 （訳）
河出書房新社


　2010年のアツリキヤ航空771便の墜落事故で、唯一の生存者は9歳のオランダ人の男の子だった。「この小さな男の子が悲劇から立ち直っていけるのだろうか」という思いにかきたてられたことが、執筆のきっかけだったらしい。

　それで思い出すのが、慰霊登山で知られる御巣鷹山の日航ジャンボ機墜落事故だ。あの時も生存者の中に少女がおり、私たちは彼女が選んだ職業まで知っている。事故があまりにも凄惨なものであったため、“奇跡的に生きていた”彼女の物語は広く報じられた。そして記事を読んだ人々は、彼女が苦しみを乗り越えて社会人として自立することを、無意識のうちに望んでいた。

　その気持ち自体は善意から生じるものであり、責められるべきではない。しかし事故に遭ったことで、突如見たこともない人々から注目され、果ては「あれをして欲しい」「これをして欲しい」と頼まれる事は、当事者にとって事故よりも長く辛い受難となる。

　旅客機墜落事故の唯一の生存者である12歳の少年エドワードは両親と兄を失い、子供のいない伯父伯母夫妻の家に引き取られる。皆はれものに触るように接する中で、隣家の少女シェイだけが「こんな状況を生き延びたあなたはハリー・ポッターみたいだ」と極めて無邪気な意見を述べ、二人は親しくなっていく。

　本作は事故以後のエドワードの生活＝エドワードの六年間と、事故機に乗っている人々の様子=近過去を交錯させながら描く。エドワードは何でも思う通りに行動する‘完璧’な三歳年上の兄ジョーダンを羨ましく思っていたが、思春期真っただ中のジョーダンは家族や恋人との関係に悩んでいた。機上では、鼻もちならない大富豪の老人だった男は周囲全てに不満を抱いており、誰も自分の事を好いてくれないだろうと思っていたが、エドワードは乗り合わせた車で妻の彼への複雑な思いを知る。このように、現在では既に死者となっている人達の思いや行動を追うことで、彼等が他面的に見えてくる。例えば事故原因は先のアフリキヤ航空のものを採用しており、終盤、一つの見逃しが大事に発展していく様が緊張感たっぷりに描かれる。



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