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カテゴリ:その他のジャンルの海外小説
みなさんこんばんは。アメリカが中国の気球を撃墜したことに中国側が強く反発する中、中国の一部のメディアは「山東省周辺の海域で正体不明の飛行物体が発見され撃墜の準備をしている」として地元当局が漁船に注意を促す通知を出したと伝えました。なんだかあっちもこっちも気球ですね。
今日は家族がみんな秘密を持っているという設定の小説を紹介します。 秘密にしていたこと Everything I Never Told You セレステ・イング アストラハウス 舞台は1977年、オハイオ州の架空の田舎町。16歳の少女リディア・リーが行方不明になり、数日後に湖で遺体で発見される。自殺か、他殺か?家族は当然他殺を信じたいが、それでも悲しみは癒えない。 リディアの生前から死ぬまでの日々と、死後の家族の様子が並行して描かれる。両者を比較することで、リディアの家族の歪さが浮き彫りになる。 父親ジェームズ・リーは中国系アメリカ人。ハーバード大学を卒業して大学教授になったが、周囲になじめずにいる。コンプレックスから、ジェームズはリディアに「友達と同じように」「周囲にとけこむように」という夢を託し、プレッシャーをかけ続ける。一方妻のマリリンは南部出身の金髪碧眼の白人。医師を志していたが、ジェームズと出会って恋に落ち、妊娠・結婚し、夢を諦める。マリリンもまた、諦めきれなかった夢を、自分と同じ青い目をもつリディアに託す。マリリンがリディアに強いたのは「特別な人間になること」-つまり、父と母が正反対の人間になるよう娘に強いていたことになる。 お互いの価値観の違いくらい、話し合ってコンセンサス取って欲しいくらいだが、なぜか両者はお互いを気遣ってぶつかり合わない。 長女のリディアは母親によく似た容姿で両親に溺愛される。しかし青い目でも黒髪であること、父親がアジア系であることから、周囲にはなじめない。自我確立もままならない時期から、両親から正反対の事を言われ続けた人物がどうなるか。不平・不満は最も近い肉親に向かう。 長男のネイスと次女のハンナは父親ゆずりのアジア人顔だ。ネイスは父から疎まれ母から無視をされ、鬱屈した生活を送っていた。ジェームズは「まるで自分を見るようだからお前を見たくないんだ。決して嫌いではない」なんてことは勿論言わない。大学進学を控えた長男なのだから、どこかの時点で言っても良かったと思う。理由がわからない分だけネイトはどうすればいいのかわからず、ただ、家が自分の居場所でない事は感じ取っていた。大学入学を機に、ついに家を出ることが決まって、遂に居場所を見つけたネイトは大喜び。しかし、このことで、お互いを支えとしていたネイスとリディアの関係が変化し始める。 妹のハンナは、家族から相手にされず、常に部屋の隅や机の下に隠れている。実は彼女を妊娠した事が夢を諦める原因になっているため、マリリンにとっては複雑な存在なのだが、これもハンナには、自分が疎まれる理由がわからない。長男と次女は理由がわからないままに疎まれ、一方長女は理由がわからないままに両者から過大な期待を寄せられる。更に悪い事には、長女は母親の家出を自分の行動と結びつけ、「自分がいい子にしていれば母親は出ていかない」と思い込んでしまう。いわゆる自縄自縛である。 三人いる子供を、両親が一度も真正面から見たことがなく、その気配を察して子供たちもそれぞれの秘密を話さない。Everything I Never Told You(原題)-は家族それぞれが持っている。秘密を守るのは大切だが、時には話さなければならない秘密もある。物事の道理を教えていくのが親なのに、リー家では“言わない”ことが一種の美徳になっている。 もちろん両親も最初から完璧な人間ではない。子育てをしながら失敗を経て一人前の親になってゆく。その失敗の結果が今回はあまりにも厳しい。人種も絡んでお互いや自分を客観視できない両親の元、きょうだいの関係も歪んでゆく。皮肉にも、彼らがリディアの本当の姿を見つめるきっかけは、第三者である警察の 「彼女は学校でうまくやっていますか?彼女の友達は誰でしたか?彼女は落ち込んでいるように見えましたか?彼女は自分を傷つけることについて話したことはありますか? 」 という質問だった。紐解いていけば謎は解ける。しかし紐はあちこちでからまり、ほどけてゆく度傷を残す。少女の死から浮かびあがるのは、米国で自分の居場所を探す一家の苦闘の物語だった。 秘密にしていたこと [ セレステ・イング ]楽天ブックス お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
December 1, 2023 08:19:35 PM
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