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みなさんこんばんは。WHOが新型コロナ「緊急事態宣言」終了を発表しましたね。戦国を生きた女性達の生涯を描いた短編集を紹介します。

戦国十二刻　女人阿修羅​
木下昌輝
光文社

「戦腹」
正妻を亡くしてから寡婦ばかりを側室に迎えている家康の最愛の人と呼ばれた阿茶局。戦場においても幾度となく家康に供奉し、小牧・長久手の戦いの陣中で一度懐妊するも流産。本編はこの時のエピソード。子供を産まないながら亡くなった西郷局の替わりに徳川秀忠と松平忠吉を養育。作中に北条政子と自身を比較する描写が登場するが彼女は政子を越える従一位を後水尾天皇より授けられ一位局・一位尼と称される。しかしそのためには大きな犠牲が必要であり、裏である人物が動いていた。いやえげつないですよ神君！

「殉妻」
戦国悲劇の美女として名高い細川ガラシャ夫人。彼女はキリシタンなので自害ができない。落ち延びさせようと彼女の前に現れたのは明智縁の女性。その女性の名前は？という謎ももちろんだけど、ガラシャが史実通りの選択をした理由もひとひねり。何事もほどほどが肝心。

「祈刀」
歴史上名前は載っていないが「刀を抜き切って回り、比類なき働き前代未聞」と、その勇猛ぶりが信長公記』にちゃんと記録がある女性。織田信長軍が伊那谷を北上、織田信忠率いる先鋒軍が高遠城を包囲と落城寸前にまで追い詰められた高遠城で刀を振るったエピソードをアレンジ。ここでは花という名を与えられている。高遠城の中で、裏切者は誰か？と疑心暗鬼になる花。彼女の前に立ったのは思いがけない人物。あと三か月持ちこたえれば本能寺の変があったのに。高遠城の落城により武田家滅亡が決定的になる。

「醜愛」
毛利三川の一人、吉川元春の嫁獲り。妻新庄局は馬気な女性であったのか、毛利元就の娘で義姉で宍戸隆家の妻・五龍局と険悪で、家中の和を望む元就に「三子教訓状」でその事をたしなめられている。また、元就に送った書状は「文章が非常に短く、まるで尼子経久や弘中隆包の偉そうな書状のようだ」と元就を苦笑させ、五龍局との和解を仲介する書状を送ってきた小早川隆景に対しては返事も送らなかった。しかし、吉川家中では良妻賢母であった…と史実を読めば「気が強くて多産系、武将の妻としては合格点」に見える。顔にあばたがあり醜女として有名だったらしいが実は…という話。


「鬼妹」
最上義光の妹にして伊達政宗の母・義姫。政宗を殺し次男を後継につけようとした悪女と見られているが、彼女の愛はいつも変わらず一人の男のもとに。ねっとりした義姫が恐ろしい。本編と「殉妻」は愛しすぎる女性の物語。で、誰を？というのが…。

他「聖室」「証母」収録。「戦国十二刻」シリーズ。



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