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May 20, 2023
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みなさんこんばんは。広島市教育委員会は、小中学校と高校で行っている「平和教育プログラム」で、漫画「はだしのゲン」の教材への掲載を取りやめて、別の内容に変更することを決めました。「はだしのゲン」は原爆の非人道性を伝える作品として高い知名度を持つだけに、賛否さまざまな意見が広がっています。今日も若草物語がらみの作品を紹介します。

マーチ家の父 もうひとつの若草物語​
March
武田ランダムハウスジャパン
ジェラルディン・ブルックス
高山真由美【訳】

『若草物語』がオルコットの家族をモデルに描かれたことはよく知られている。父は超絶主義者で教育者のエイモス・ブロンソン・オルコット、母はニューイングランドの由緒ある家柄出身のアビゲイル・メイ・オルコット。ルイーザ・メイ・オルコットは四人姉妹の次女にあたり、作家を目指すジョー=オルコットだ。『若草物語』における主人公は言うまでもなく四人姉妹で、両親は、時に暴走する彼等をたしなめ、正しい道を歩むよう教え導く彼等を教え導く大人ポジションだ。

 本編はそんな大人達の内幕に迫る。タイトルこそ“父”だが、第一部は“父”第二部は“母”視点である。物語は南北戦争の最中、従軍牧師として北軍に赴いたマーチ氏が、妻にあてて手紙を書く場面から始まる。戦場で体験した全てを妻に書くわけにはいかないと悩むマーチ氏は、かつて行商をしていた時に南部で出会ったグレイスと、ほのかな思いを寄せあった過去がある。しかしグレイスは農園主と奴隷の間に生まれた、当時珍しくもなかった混血児であり、結婚は許されない。それどころか、ミスター・クレメントのコックのアニーの娘プルーデンスに文字を教えていたのが発覚し、名乗り出たグレイスは鞭打たれる。

 描かれるマーチ氏は、高邁な思想の持主であるが、現実生活とは折り合えない。折角築いた財をあっという間に失う過程もそうだが、思いが先行して突っ走った結果、周囲との軋轢を生み、かつ周囲に迷惑もかける。黒人に対しても
「裸足の奴隷にすら、平均的な教育を受けたニュー・イングランドの人間よりも上品なふるまいをする人々がいる。」
「私より年下であろう黒人の奴隷が、大貴族であっても恥ずかしくないような話し方をする。」

「黒人“なのに”それだけできて偉い」など、明らかな上から目線で接しており、言葉の端々にも出ているので、敏感な人にはわかってしまう。

 マーチ夫人にも名前=マーミーがある。戦場で負傷したマーチ氏をブルックス氏と共に訪れる『若草物語』に登場した場面から、やはり彼女も回想に入る。
「女が言ってはいけないことの長いリストに、また新たなひとつが加わっただけのことだ。彼のように犠牲を払うことを世間では高潔であるという。だが世間は、戦争によって壊されたものをわたしが元どおりにしようとしても手伝ってくれはしない。」
「この戦争のゆくえが好転しなかったら、この街はこのままどうにもならないのではないか、とふと思った。廃墟が沼地に沈むだけ、自由や平等といった理念の上に国家を築くことができると信じた楽観論者たちの夢の跡。」

と、戦場に赴く男達を含む、戦争自体をかなりシニカルに見ており、理想的な銃後の妻ではない。理想主義の夫のせいで貧乏生活を強いられている事にも不満を持っているが、娘達には父親を敬うよう教えている。つまり、夫妻とも、実に生臭いキャラクターに仕上がっている。一触即発すれば離婚に至るような緊張関係だが、お互い体面や娘のために夫婦関係を続けていかなければならないという義務感を優先させるため、原作から逸脱することはない。本作は、姉妹から絶大なる信頼を受けているマーチ夫妻の、知られざる、そして大いなる挫折の物語と言える。


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最終更新日  May 20, 2023 12:00:24 AM
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