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カテゴリ:海外のミステリー&ファンタジー小説
みなさんこんばんは。オークションハウスのサザビーズが、イギリスのロックバンド・クイーンのボーカリスト、フレディ・マーキュリーのプライベート・コレクションのオークションを9月に実施し、合わせてコレクションの展覧会も開催されます。今日から3日間フィデルマシリーズを紹介します。
蜘蛛の巣 上下 The Spider's Web 創元推理文庫 ピーター・トレメイン マルドウナッハ丘陵の北、山脈に囲まれた谷間の緑深いアラグリンで、族長エベルが殺害される。殺害現場で犯人が拘束され、事件は単純なものに思われた。ところが、兄王の要請で公正な裁きを下すためにアラグリンへ赴いた、裁判官の資格も持つ弁護士のフィデルマが面会した容疑者の若者・モーエンは、目が見えず、耳も聞こえず、口も聞けない青年だった。ある証言からモーエンの無実を確信したフィデルマは、事件の真相を突き止めようとするが、新たに殺人事件が発生する。 シリーズ第5作だが、日本は最初に翻訳された。日本における初登場は、裁判シーンである。 「修道女の法衣をまとった二十代半ばか、せいぜい後半といった、うら若い女性であった。すらりと背の高い、人の心を惹きつけずにはおかぬ美貌の尼僧である。修道衣の被り物の下から、赤みを帯びた髪の毛が一房、こぼれるようにのぞいている」 ただこの時は、あまりにもさりげなく描かれているので、後のち赤毛が「誰が何といっても言うことを聞かないフィデルマの頑固さの比喩」とはわからない。王妹にしてドーリィー、アンルー、ブレホンと裁判官にして弁護士の資格を持つ最強ヒロインは、不当に土地を奪われただ働きされていた青年を救ったがために、さっそく宿を襲撃される。 しかし、どんな時でもフィデルマは負けない。というのは 「互いの異なる意見や人生論を論じあいつつ彼をからかうという楽しみ」 をもたらしてくれ 「彼女が投げかける餌にいつも上機嫌で食いついてくる」 サックスムンド・ハムの修道士エイダルフがいつも傍にいてくれるからだ。 「故意に反対意見を述べて議論を活気づかせようとするのは、彼に対してフィデルマがいつも用いてきた手口だ。餌を投げて彼に食いつかせるために、フィデルマはよくこの戦術を培ってきた。」 エイダルフ、初登場時は(から?)犬扱いだ。ひどい。 今回赴いた先では、フィデルマに負けないお嬢様気質(実際にお嬢様である)クローンとのお嬢様対決がある。その中には文字通りのマウント合戦も。事情を聴きに行った時に、自分の席がクローンより一段下に置かれていることに気づいたフィデルマ。一度目は「ま、しょうがないわね。この人達もの知らないのよ」で抑えたものの、内心の怒りはエイダルフにしっかりキャッチされている。さて二度目、クローンと母親の前に来た時、またもや自分の席が下になっているのを見ると、今度は実力行使。ただこういう時、最初に行動で示すからフィデルマ反発食らうのだ。仕方ない、お姫様だから。一方クローンも、言いたい事言ってさっさと席を立つフィデルマに「あたしに断らずに出ていくなんて!」と目をぱちくり。しかしクローンお嬢様、上巻ラストで既にデレており、ややデレが早い。なかなか似たような年回りの対決がないのだから、もう少し引き延ばしてくれても良かったのに。 蜘蛛の巣(上) (創元推理文庫) [ ピーター・トレメイン ] 蜘蛛の巣(下) (創元推理文庫) [ ピーター・トレメイン ]楽天ブックス お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
July 7, 2023 12:00:19 AM
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