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カテゴリ:日本のミステリー小説
みなさんこんばんは。ノーベル経済学賞に男女の賃金格差などを研究したアメリカのハーバード大学のゴールディン教授が選ばれましたね。今日から2日間京極夏彦さんの小説を紹介します。
書楼弔堂 破暁 京極夏彦 集英社 明治二十年代の半ば、雑木林と荒れ地ばかりの東京の外れにて、日々無為に過ごしていた高遠は異様な書舗と巡りあう。店の名は、書楼弔堂。 そう目立った場所にはない書店を、わざわざ探して〈探書〉に訪れるのが皆当時の有名人という書店シリーズ第一弾。 第一話『臨終』は物語導入部。現在も紙の本を扱う書店にとっては激動期だが、江戸から明治へ時代が移る時、書舗業界にもまた変化があった。 同じ本を読まれても、人に依って立ち上がるものは異なりましょう。どれだけ無価値な内容が書き連ねられていたとて、百人千人が無用と断じたとて、ただ一人の中に価値ある何かが生まれたならば、その本は無価値ではございますまい」 本は内容に価値があるのではなく、読むという行いに因って、読む人の中に何かが立ちあがる―そちらの方に価値があるのでございます」 本当に大切な本は、現世の一生を生きるのと同じ程の別の生を与えてくれるのでございますよ。ですから、その大切な本に巡り合うまで、人は探し続けるのです。」 浮世絵師月岡芳年が登場。 第二話『発心』では泉鏡花が登場。 「この世に無駄なことなどございません。世を無駄にする愚か者が居るだけでございます。」 これてっきりシリーズを通じての決め台詞に?と思いきや単発だった。 「旧時代は貧しく、愚かで、しかし正義だ。新時代は豊かで、賢いが、悪でございます。」 「私達の生きているこの時代は、過去の上に乗っております。明治は江戸を壊して出来上がった訳ではないのでございます。壊したように装うていても、地続きなのでございますよ。」 第三話『方便』は勝安房守こと勝海舟登場。対するは井上円了。この話には由良卿も伝聞として登場。 「能く勘違いをされるのだ。西洋を良しとすると西洋気触れ、日本を立てれば国粋主義と云われる。そうではないのだ。どんなものでも正しいものは正しいし、間違っているものは間違っている。西洋だから正しい、東洋だから間違っているなどと云うことはなかろう」 「自国の悪しき処は正し、他国の善き処は学ぶ。正すも学ぶも主体あってこそだな。その主体がねえから、何が正しく何が正しくないのか判らねえ。悪いとこまで倣っちまう。他の 国ではそんなこたあねえと云う」 第四話『贖罪』はジョン万次郎と岡田以蔵。死んだはずの以蔵が生きている理由と彼に示された一冊とは。 「人に人は救えない、だが本は人を救うこともある、と」 第五話『闕如』では巌谷小波が登場。 「道は、外れさえしなければいいのです。間違うことはございません。道は凡て繋がっているものなのです。行き先さえ定まっているならばどの道を行くのも同じこと。いつかは着く。行き先がなくとも、必ず何処かには着きましょう。」 第六話『未完』では京極作品おなじみのあの一族が登場。 探し人は本を探しているはずが、実は時代が変わったことによって生き方&生甲斐を探していた。そんな彼等に博識の店主は常に探し人の正体を明かし、彼等が求めていた答えを与える。その全てをつぶさに見ているのが、たまたま書舗を訪れたやんごとなき生まれの“まれびと”高遠である。 「誰も参らぬ墓はただの石塊。読まれぬ本は只の紙屑。」 だから売るのが供養であり、弔堂と名付けたという店主。さて、今日はどんな弔い人がどんな本と出会うのか。 文庫版 書楼弔堂 破曉【電子書籍】[ 京極夏彦 ]楽天Kobo電子書籍ストア お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
November 23, 2023 10:23:05 AM
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