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みなさんこんばんは。TVアニメ「響け！ユーフォニアム3」が2024年4月からNHK Eテレにて放送。新キャラクターの黒江真由役で戸松遥が出演します。今日もプレストン・スタージェス監督作品を紹介します。

崇高なとき​
The Great Moment


監督＆脚本
プレストン・スタージェス

音楽
ヴィクター・ヤング

出演
ジョエル・マクレー　ウィリアム・デマレスト　ベティ・フィールド

　冒頭は1868年の冬。イーベン・フロストはボストンの質屋に行き、「人類の恩人であるW・T・G・モートン博士に人類への感謝を込めて」と刻まれた銀メダルを購入。フロストは車で田舎の農家まで行き、モートンの未亡人エリザベス・モートンにメダルを手渡す。エリザベスは娘のベティに、フロストが彼女の父親でボストンの歯科医であるW・T・G博士によって最初に麻酔をかけられた人物であると説明。

　ここから過去編。20年前モートンは「レセオン」の発見で痛みを永久に止めた人物として医学生たちから熱狂的に賞賛されていた。これまでは、患者が完全に意識のある状態で切断手術さえも行われていた。麻酔が行われている今となっては、当時の患者の恐怖が目に浮かぶ。

「レセロン」は、薬局で簡単に入手できる高度に精製された硫酸エーテル、つまり洗浄液である。秘密を守ることでモートン医師は金持ちになれる。しかしここで、ウォーレン医師から公開手術で麻酔を使いたいという申し出が。皆の前で麻酔が行われれば、特許は消滅し、彼の第一発見者としての名誉も危機に陥り、金ももらえない。手術台に乗った一人の少女を救うか。それとも自分の利益を守るか。ジレンマに悩む主人公は、スクリューボールコメディで馴らしたスタージェス作品では珍しい。唯一、最初に麻酔が成功した男性が常にモートンに助手として付き従い、自分の体験談を話す繰り返しシーンがコメディを感じさせる。

　尾羽打ち枯らした冒頭から見て、モートンがどちらを選んだかは明白である。しかし葛藤する姿を挿入したことで、モートンを決して聖人君子としては描いていない。モートンが決意した時、後ろのドアがばっと開き、手術室に繋がる所は、舞台の幕がばっと上がるかのようだった。

　パラマウントは、MGM の短編「麻酔発見者ウィリアム・モートンの生涯」の権利を購入。この映画は 1942 年 4 月から 6 月にかけて撮影されたが、公開されたのは 1944 年。試写会で観客はこの映画がわかりにくいと感じたため、製作総指揮のバディ ・G・ デシルバがプレストン・ スタージェスの反対を押し切って再編集を行った。スタージェスはこれをもっとシリアスな映画にするつもりだった。しかしいくつかのレビューにパニックを起こしたパラマウントは、本作を伝統的なスタージェスのコメディとして売り出そうと考えていた。監督はもうスタジオとは関係がなくなったが、元友人でスタジオチーフのフランク・フリーマンに映画のタイトルを「痛みを超えた勝利」にするよう依頼し、プロローグの脚本、監督、出演を無償で引き受けると申し出た。パラマウント社は、これにより発生する追加の 50,000 ドルを使いたくなかったので、彼の申し出を無視。よって本作はスタージェスにとっては不本意な形での公開にあたる。


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