映画・海外ドラマ・本　ひとこと言いた～い

みなさんこんばんは。高橋一生さんと飯豊まりえさんが結婚したそうです。めでたいですね。
今日はいっぷう変わったミステリを紹介します。

終わらない週末
Leave The World Behind
ルマーン・アラム
早川書房

アマンダとクレイは、10代の子供ふたりと一緒にロングアイランドに借りた別荘で一週間、休暇を楽しむつもりだった。束の間の休暇を楽しんでいたのに、夜中に突然ドアをノックする音が。別荘の持ち主だと名乗る老夫婦ルースとG・Hが現れ「ニューヨークが停電になり大混乱に陥った」とアマンダとクレイに告げる。インターネットもテレビも電話も繋がらなくなり、外の世界で何が起こっているか知る由もない6人が、生き残るすべを求め暗中模索を始める。

　アマンダは出版社の幹部で、クレイは書評家。休暇で別荘暮らしはいいが、他人の別荘を借りるというのがひっかかっていた。自前で別荘くらい持ちたいのが本音である。そこへもってきて「黒人が住んでいるような家ではなかった」と思っていた別荘の所有者が、黒人夫妻のGHとルースだと判明して、複雑な思いに駆られる。更にアマンダは“夫の名前がジョージ・ワシントン”というのに反応し、ルース達に見られる。なぜまずいかというと、ジョージ・ワシントンは、表立って国を割ることを望まず、奴隷制反対を唱えなかったからだ。アマンダの反応は「何とも皮肉な名前」という意味だった。

　黒人夫妻の言っていることが仮に嘘というなら、どのテレビ局をつけても同じテロップが流れている状態をわざわざ作り出す理由もないから、本当だろう。クレイは助けを求めて出発するが、見つけたのは道端ですすり泣く出稼ぎ労働者だけで、彼女は英語が話せないので、夫妻の言っていることが真実かどうか証明できない。結局はクローズド・サークルの6人以外、人間関係が広がらない。夫妻は無意識のうちに子供たちのマウント合戦を始め、感情がささくれ立って、何かが起きそうな気配が漂う。

　オバマ元大統領も絶賛し、ジュリア・ロバーツ主演でNetflix映画化決定というが…うーん、やはりこの終わり方はもやもや。起承転結あるとしたら「承」部までしか書いてない印象。天変地異なのか、人災なのか。意味ありげに出て来る鹿達は、やがて人間を襲うのか。何もかも答えが提示されないままだ。映画では、きちんとオチをつけて欲しい。

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