この表題のデザインは京極さん好みですね ノンフィクション「大英自然史博物館 珍鳥標本盗難事件―なぜ美しい羽は狙われたのか」
みなさんこんばんは。国会で子の親権についての法律を変えることが決まりました。今の法律では、離婚したあとに両親のどちらか1人が親権を持ちます。新しい法律では、両方が親権を持つこともできます。今日も泥棒に関するノンフィクション作品を紹介します。大英自然史博物館 珍鳥標本盗難事件―なぜ美しい羽は狙われたのかThe Feather Thief: Beauty, Obsession, and the Natural History Heist of the Centuryカーク・ウォレス・ジョンソン 化学同人 人には三種類いる。とにかく取る(あるいは盗む)のが好きな人。捕る(盗る)ことで完結する。とにかく売りさばいて金を儲けるのが好きな人。とにかく自分で所有したい人。 この三方がぴたりとはまると、盗まれても、なかなか世に出てこない。二番目はともかく、一番目と三番目は行為が終了した時点で満足し、特に喧伝しないからだ。三番目はおそらく、対象がヤバいものなら、限られたコミュニティにだけ喧伝する。更に難しいのは、本編のキーアイテム=羽毛だ。小さいし、ましてや、ばらばらにしたら、どれがどの個体のものかなど、照合が最も難しい。 そもそも羽毛の持主である鳥たちも、もといた場所から不当に連れ去られてきた。本編はチャールズ・ダーウィンとほぼ同時に進化論を発見したアルフレッド・ラッセル・ウォレスの冒険から始まっている。一度船の火災で採集物を全て失ったウォレスは、それを教訓に、都度都度の配送で貴重な標本を英国に送り続ける方式を取る。進化論は正直ダーウィンと彼の二人発表でも良かったように思うが、本国にいたダーウィンがうまく功を持っていってしまった。にも拘わらず禍根が残らないのは、ウォレスがいい人なんだろう。 しかしなぜにこうも犯罪者というのは、よその世界で成功していたかもしれない要素を持っているのに、その道を選ばなかったのか。博物館の警備と点検がザルだったのは勿論責められるべきだが、盗まれた標本についていた採取時期、場所、採取者などのデータが書かれたタグを全てばらしてしまうなど、その被害は甚大である。裕福な家の生まれだからなのか、弁護士の言い訳には事欠かず、実際の所、あの理由を持ち出すのは、本当の疾患の人に対して大変失礼だ。見た所、彼はその病気にあたらない。彼は犯罪者として一応は法廷に立ったが、彼の作品を購入した人は罪から免れて頬かむりしている人たちも許せない。大英自然史博物館 珍鳥標本盗難事件 なぜ美しい羽は狙われたのか [ カーク・ウォレス・ジョンソン ]楽天ブックス