ナポレオンは人誑しだった~映画『ワーテルロー』
TBSの日曜ドラマ『半沢直樹』があれよあれよという間に人気になってしまいましたね。今日職場でも女性達が「倍返し」の話をしてました。「でも、絶対現実にはできないよね~」と言ってましたが。皆さんはご覧になっていますか?今回紹介する映画は、こちらも倍返しした男、ナポレオンの戦いを描いたものです。『映画「ワーテルロー」』 セルゲイ・ボンダルチェク / 脚本セルゲイ・ボンダルチェク音楽ニーノ・ロータ出演ロッド・スタイガー…皇帝ナポレオンオーソン・ウェルズ…ルイ18世クリストファー・プラマー…ウェリントン将軍1815年6月15日、フランス皇帝ナポレオンとイギリス将軍ウェリントンが、全ヨーロッパの運命を賭けて闘った『ワーテルローの戦い』を中心に描いた歴史ドラマ。ナポレオンが退位を迫られる所から物語は始まる。ロッド・スタイガーがナポレオンを演じると聞いて、「『夜の大捜査線』の署長役の人だよね?そりゃあ、確かにずんぐりむっくりで体型は似てるかもしれないけど、大丈夫?」と思ったが、彼は冒頭から実に表情豊かにフランス人を演じてくれる。部下達が退位宣言に署名を求めた時、顔全部で怒りを表現して「俺は絶対に屈服しない!(I will not!not!not!」と叫ぶ。彼が1814年フォンテーヌブロー宮殿で兵士達に別れを告げるシーンが出てくる。「Though I love you, I can't embrace you all.With this kiss remember me.Good bye My Soldiers, My Sons, My Children!」(私は諸君を愛しているが、皆を抱き締める事はできない。だからこのキスで、余を覚えておいてくれ。さらば、わが兵士よ、わが息子よ、我が子よ!)この最後のたたみかけるような呼びかけがいい。なるほど、民衆の心を、この上手い演説で掴んだな。いかにも人々の心をぐっと引きつけそうだ。もう一つの彼の見せ場は、エルバ島を脱出して、わずか700人でかつての部下ネイ将軍率いるルイ18世の軍と対峙するシーン。多勢に無勢なのは明らか。ここでカメラは、ナポレオンを後方から、両手にズームインして映し続ける。この手の動きで、彼の心の動きが読める。どんなに動揺していても、彼はそれを表に出さず、言う。「If you want to kill your emperor here I am.」(皇帝を殺したいのなら、ここにいる。撃て!)思わず兵士が前に身を投げる。徒手空拳のナポレオンのはったり勝ちである。対するウェリントンを演じるのは、クリストファー・プラマー。ナポレオンと対照的に、クールで知的な知将というイメージ。最初に登場するのは、ちょうど映画『会議は踊る』で描かれる、ナポレオン戦後処理そっちのけで、やたら開かれている舞踏会の一つ。知り合いの娘の見合いも行われていて、何とものどか。そこへナポレオン脱出という思いがけない知らせが届く。辞書では5W1Hの一行で済んでしまうワーテルローの戦いも、実力も兵力も伯仲、実はどっちに転んでもおかしくなかったのだな、という事がよくわかった。戦いも様々な側面から映されるので、今どこがどんな動きをしているのか、非常にわかりやすい。CGのない時代、あれだけの馬と人を思い通りに動かすのは、さぞや大変だったろう。ナポレオン、ウェリントン、各々のひととなりも挿入され、単調な戦闘場面になっていない。一人の兵士とナポレオンが語り合う場面が特に印象的だった。息子がいるという兵士に尋ねるナポレオン。「今息子がいたらどうする?」「皇帝陛下に会わせます。栄誉ですから。」「今日の戦闘は、最愛の息子には見せたくない。」ニーノ・ロータというといつも哀愁漂うメロディというイメージがあったが、さすがにこちらでは勇ましいホーンを基調とした音楽になっている。【アウトレット品】ワーテルロー【洋画ドラマ】楽天で購入