戦後を生きる二人~NHKドラマ『どこにもない国』&BSプレミアム『小野田さんと、雪男を探した男~鈴木紀夫の冒険と死~』
みなさん、こんばんは。新天皇の即位の儀式が着々と決まっていきますね。平成が終わろうとする今、二つの昭和を描いたドラマを見ました。特集ドラマどこにもない国を見ました。作 : 大森寿美男原案 : ポール・邦昭・丸山音楽 : 川井憲次語り : 柴田恭兵出演 : 内野聖陽、木村佳乃、原田泰造、蓮佛美沙子、満島真之介、片岡鶴太郎、萩原健一 ほか【前 編】昭和20年8月、満州。丸山邦雄は進駐してきたソ連軍に身ぐるみをはがされ、敗戦の現実の前に妻・万里子と子供たちをどう守るのか途方に暮れる。略奪や財産の没収は日常的となり、日本の民間人は脱出行の過程で多くが襲われ、さらに栄養不良、伝染病の流行で次々に命を落としていく。このままでは、150万を超える在満日本人は死に絶えてしまう。丸山は日本への引き揚げを祖国に訴えようと決意。新甫八朗、武蔵正道を加え、満州を脱出する計画を立てる。建設会社社長の新甫は資金豊富で肝がすわり、武蔵は中国語が堪能で現地の内情に通じる。そして、抜群の英語力で強い信念を持つ丸山、理想のチームの誕生であった。万里子は夫の決意に同意するが、新甫の妻・マツは無謀な計画に不安を募らせる。家族を残したままで、ついに3人の脱出行が始まる。襲い掛かる数々の絶体絶命の危機を乗り越え、日本にたどり着くことができるのか!王道楽土をスローガンに建国された満州国が敗戦によりソ連兵が攻めよせて来て無法地帯と化してしまう。ソ連兵の残虐さ云々というより、敗戦はこのように国民が無防備で無力になるものなのだ。【後 編】満州から帰国を果たした丸山たちは占領下の日本政府に権限も力もないことに憤りながら、世論を盛り上げるキャンペーンを繰り広げ、引揚げの実現を訴え続ける。一方、大連に残された万里子とマツは夫たちの消息がまったくないまま、必死に子供たちを守っていた。マツは夫・新甫は死んだのではと疑うが、万里子は懸命に励ます。やがて丸山のラジオ演説が遠く大連に届き、無事を知った万里子は歓喜する。そして丸山たちの吉田茂やマッカーサーへの直訴が功を奏したのか、ついに昭和21年4月、満州からの引き揚げが始まった。支援活動のため満州に戻った武蔵はスパイ容疑で拘束され、激しい拷問を受け、九死に一生を得、日本に帰ってくる。しかし、万里子たちが帰ってくるまではさらに長い年月が必要だった。昭和22年1月、佐世保港では万里子と息子たちを探す丸山、そしてマツたちと抱き合う新甫の姿があった。長い戦いを経てついに家族が一つになった瞬間だった。こちらもある意味戦後を生き抜いた人のドキュメンタリードラマでした。それも、先の彼らよりも長い戦争を。【ドラマ出演】青木崇高,塚本晋也,山田真歩,崔洋一,もたいまさこ,川口覚,重岡漠,アーマッド・シブリ,吉岡晴輝,五條千衣【ドキュメント出演】田原総一郎,島田雅彦,角幡唯介【語り】和久田麻由子戦後29年もの間、フィリピンのジャングルに身を潜めた小野田元少尉。彼を日本に連れ戻したのは、たった一人の若者だった!その若者の名は鈴木紀夫。冒険家を目指した紀夫はその後、ヒマラヤで雪男発見に没頭し、雪崩に遭い、37歳で生涯を閉じる。70~80年代、経済成長する日本社会に背を向け、なぜこのような生き方を選んだのか。小野田や雪男捜索の初公開資料を交え、男たちの生きざまをドラマ&ドキュメントで描く。肉親の情もラジオから聞こえてくる情報も無視し徹底して叩きこまれた諜報員の技術と魂。田原さん談「横井さんには同情小野田さんには尊敬」の意味がわかる。登用法はともかくこれほど優秀な人材を生み出せる日本の成れの果てが忖度による行政文書書き替えとは。 自らの意図に反して有名になり過ぎたために日本にいられなくなってしまった小野田さん。いつまでたっても「小野田さんを発見した」という枕詞つきではなく自分の名前で勝負したかった鈴木さん。目的と結果がねじれた二人。小野田さんの義理堅さが昔の良き日本人みたい。