2009年08月23日(日曜日)日本経済新聞 朝刊2頁より引用
その言葉の本質を隠したいときに日本語で書かずに英語表記するのはPC業界ではよく見られる常套手段だが、最近の新聞を見てふと思うこと。わざわざ政権公約という立派な日本語があるにも関わらず、マニフェストという聞き慣れぬ言葉を新聞各紙が報道している姿勢を見ると、見識を疑うほどの違和感を感じてしまう。老若男女、政権選択を決める大事な選挙だから皆さんの意思を表明するためにも選挙には必ず行きましょうと報道するのであれば、ことさら分かりやすい表記、分かりやすい説明が必要だろう。まして物書きを商売にしているのであれば一言一句、細心の注意を持って言葉を選び出す作業が必要であり、この点でマスコミとしての志の低さを感じてしまうのだ。小学生から老人まで誰にでも分かる言葉はと問うたとき、政権公約と漢字四文字で表記すれば済むこと。ことさらラテン・イタリア語を起源とするマニフェストなど覚える必要はあるまい。
閑話休題。
今現在は広告としての役割が新聞テレビ雑誌からネットに移行しつつある過渡期の状態だが、すでに若年層ではテレビよりもネットを視聴している時間が長いとの調査結果が出ている。であるならば、ことさら選挙におけるネットの役割は重要なはずだと思うのだが、ここ日本では公職選挙法の規定によりネットを選挙活動に使うことは出来ないとのこと。なんとも時代遅れの法律だと感じてしまう。新聞テレビ雑誌の報道は我々からしたら受け身の報道であり、そこに書いてあることを読んで自分で感じるだけ。
それに対しネットは自らの意志で能動的に情報を集めることが可能となるのだ。例えば高速道路無料化に賛成する政党は?と入力すれば自民党、民主党などの各党がその問いに対する前向きな姿勢の順番にずらりと並び、消費税増税の実施時期はと入力したら各党の消費税に対する見解が一覧表形式で出そろう。住居地域の各立候補員の一日の活動が時系列で紹介され、その演説内容や基本方針、考え方が日ごとに更新される。
これこそがネットによる情報収集の醍醐味であるにも関わらず、それが認められていないとはそれこそ行政の怠慢以外の何物でもない。が、それを社説で書いた日本経済新聞はまだ良しとしても読売新聞にはその類の記事が殆ど見られないような気がする。ネット礼賛は自分の首を絞めることになるだけに言及したくない姿勢は理解できるが、少なくとも日本最大発行部数を誇るのであれば一面トップもしくは社説でその意見を述べるべきだと思う。
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