地デジ対応テレビを買い換えるとUSBハードディスクで録画した番組を見ることが出来ない、見たければ買い換える前にブルーレイディスクに保存するか、再度録画し直ししなければならないという事実を知ったときに感じたのは驚愕とか憤怒の気持ちよりも、ただ単に情けない、その一言だった。まだそんな規制をやっているのか、だからいつまで経っても日本からはマイクロソフト、グーグル、アップルといった会社が出てこないのだ。
個人的に思うのはいい悪いは抜きにして日本での社会規範は規制がまず最初にくる。規制→不平不満苦情→規制部分解除→不平不満苦情→規制部分解除の繰り返し。つまり抜け道がまるで無いようながんじがらめの縛りを設けて、言われたら段階的に開放する。これ自体は別に悪いことだとは思わないが、それが通用するのは日本国内だけだ。
それに対して前述のIT産業はすべて米国企業だが、彼らの動きを見ていると、自由理想追求→不平不満苦情→部分制限→不平不満苦情→部分制限の繰り返しが多い。その代表的な事例がグーグルストリートビューだろう。あったら便利だろうし楽しいだろうと思われる世界各地の街角風景を全世界の人々に分け隔てなく提供するとの理念の元でストリートビューサービスを開始し、プライバシーの侵害などの苦情が寄せられると顔写真やナンバープレートをぼかす、あるいは個人の住宅地域内はストリートビューでは閲覧不可の措置を取る。自由を常に追求すれば必ず従来からの仕来り、慣習、地域、民族と衝突するので、その過程で微調整を繰り返しあるいは軌道修正の舵を切りながらあくまでも理想を追い求める。
同じことはアップルが展開しているiTunesにも言える。音楽のジャンル、レーベルを問うことなく、全ての音楽を安価な値段で配信するサービスを全世界でいち早く展開し、あっという間に市場を制覇した。その辺りをWikipediaより引用すると
購入したファイルは基本的に前述のiTunes Plusを除き、アップルのデジタル著作権管理技術であるFairPlayで保護される。iPodへの無制限の転送、CDへの無制限の書き込み(同一プレイリストを使用しての書き込みは7回まで)、LANを介して最大5台のコンピュータで音楽を共有(ファイルを保存してあるサーバ役のコンピュータからストリーミングで再生するため、保存はできない)、更にファイル自体のコピーは無制限に行うことができ、ファイルを購入したアカウントでの認証を行うことで、最大5台のコンピュータでファイルを再生することができる。この非常に柔軟な制限はiTunes Store登場以前の同様の音楽配信サービスでは考えられなかったことで、その低価格さと相まって開始当初は非常に注目された。
地デジ対応のために10年ぶりにテレビを買い換えたが、その進化の度合いは予想を遥に上回り、技術革新を目のあたりにしたことは新鮮な驚きだったが、それをサポートするべき周囲のサービスがあまりにも貧弱だ。家電業界は浅学非才の身故にダビング10なるルールが一体どのようなものなのか全貌を把握しきれていないが、確実に言えるのは木を見て森を見ていないと言うこと。冒頭で書いた日本国内限定の対処の仕方では、米国企業を先頭とするIT家電業界では音頭を取ることが出来ないのは事実だ。
1月15日の朝刊を読んでいたら、中国からサイバー攻撃を受けたグーグルはGmailの安全性をより高めるためにHTTPS暗号化を初期設定とすることをにしたが、会社に行ってGmailを開いた瞬間に目に入ってきたのが、『Gmailがより安全になりました』との赤字表記(HTTPS暗号化を初期設定が完了した意)だ。もちろん新聞発表後に即座にそれを実行したかのように見せかける、用意周到に仕組まれた出来事なのだろうが、この早さ、速度にダビング10のような後ろ向きの発想で対抗出来るのだろうか?だからいつまで経っても米国IT産業の手のひらの上で踊ることしか出来ないのだと個人的には思っている。
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