このところバタバタしていたのであまり触れる機会の少ないiPadだが、ネットやメール閲覧に関していえばPCとほぼ同様の視認性であるために、画面が狭いだとか携帯電話のように小さくてサイト全体が把握しにくいといった場面に遭遇することはまずない。動画も快適に見ることが出来るし、写真の再現もとても綺麗だ。iPhoneやiPod touchの時にも書いたが、こと受け身の姿勢で済む作業の時には、姿勢を問わずにリラックスした状態で各種の操作が出来るために非常に有益なモバイルデバイスだと思う。
まだメール文章を書いたりオフィス系のソフトをインストールしていないので、能動的な操作は快適に出来るのかどうかは不明だが、いずれにしても家庭内での使用を考えると、従来のPCで行っていた操作の大半がこのiPadで可能になることは間違いないだろう。つい一年ぐらい前までは5万円から10万円弱のネットブックと称される低価格モデルが家電量販店の店頭で大賑わいしていたことを考えると、ひょっとしたらそれらを押し入れに追いやってしまうほどの高いポテンシャルを秘めた新しい世代のPCと呼びたいぐらいの製品だと思う。
考えてみればWindowsやMacintosh,Linuxなどをいじくって喜んでいるのはごくごくほんの一握りの人達。大多数の人達にとっては現在のPCは家庭内で使うには敷居が高すぎるのだ。OSの初期化、ソフトのインストール、周辺機器の接続、ウイルス対策、ネットワーク管理、データのバックアップなど、どれ一つをこなすにしても相当の知識が不可欠。
PCの操作が出来たとしても、いざ実際にトラブルが発生したときにはそれらの知識が無いとまずトラブル解決は出来ないのが殆どだ。それに対してiPod touchは使い始めてから数年が経過するが、前述のトラブルに遭遇したことは無く、PCとはまったく別物のハードウェアであることを改めて認識させてくれる。トラブルや困難に直面したときにそれを解決するのが楽しみ、あるいは知的快感を覚えるという人間ならまだしも大多数の人にとってはそれは苦痛以外の何物でもないのだ。iPadはOSとは無縁の新しいPCになるような気がすると思っていたら、アップルCEOのスティーブ・ジョブズとマイクロソフトのCEOの対比がとても面白かった。世界最大のモバイル機器メーカーになりつつあるアップルとWindowsOSを屋台骨とするマイクロソフト。業務の上では従来のPCが無くなる事はないと思うが、比重は徐々にWindowsOSから移り始めているのかもしれない。
●S・ジョブズ氏が語る「ポストPC時代」、Flash、グーグル--D: All Things Digital
●マイクロソフトCEO「主役はパソコン」アップルに反論
米マイクロソフト(MS)のスティーブ・バルマー最高経営責任者(CEO)は3日、米ロサンゼルス郊外で開かれたIT(情報技術)関連のイベントに登壇し、「パソコンの形や技術が進歩し、定義が変わっても、汎用性の高いパソコンが人々の生活の中核を担い続ける」と強調した。バルマーCEOは、競合する米アップルのスティーブ・ジョブズCEOが同じイベントで1日、「パソコン需要はいずれ減少する」と発言したことに反論。アップルが4月に投入し、人気を博している多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」について「パソコンの一種だ」とし、MSはパソコン用の基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」を軸に様々な機器を連携させる戦略で反撃するとした。アップルのジョブズCEOは1日、「パソコンはトラックのようだ。(様々な荷物を運べるが)すべての人には必要ない」と指摘。車が様々な形に発展したように、パソコンも残るとしたうえで、「高機能携帯電話(スマートフォン)やiPadのような製品が主流となる」との考えを示した。
●快進撃はいつまで続く?――本格普及期に入ったiPhone(前編) (1/2)
「『日本でiPhoneは売れない』と言ったメディアやアナリスト、業界関係者は、ぜひ謝罪してほしい」ソフトバンクの代表取締役社長孫正義氏が、少し冗談めかしながら皮肉る。ここ最近の同社の記者会見で、よく見かける光景だ。孫氏があてこするのも無理はない。 2008年の「iPhone 3G」発売に前後して、一部の新聞・雑誌や業界関係者が「iPhoneは日本で売れない」とコメント。販売開始後、一時的に当初の勢いが落ちると、「iPhone失速」「戦後処理が必要な段階」とまで言いつのるアナリストまで現れた(2008年10月の記事参照)。しかし、蓋を開けてみれば、iPhoneは2008年後半から着実に販売を伸ばし、2009年のiPhone3GS発売後は各商戦期で販売ランキングトップを独走する売れ行きを示した。孫氏が「2009年に日本で1番売れたのはiPhone だった。iPhoneはダントツに売れており、今も販売台数は右肩上がりで伸びている」と胸を張るのは無理もない。