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2010年06月27日
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いろいろなところですでに書かれているが、ブラジル対コートジボアール戦におけるルイス・ファビアーノの神の手に対するマラドーナ監督のコメントが面白かった。自分のことは一切棚に上げて顧みず、他人を批判するところはなんと言ってもマラドーナ。ルイス・ファビアーノごときが俺様のマネをして神の手を名乗るなんて冗談じゃないと言ったところなのだろうが、当日夜のスカパーのサッカーニュースを見ていたら、解説の三浦泰年さんも『あれはプレイの中での自然な流れ。だから別にいいんじゃない?』などと訳の分からない説明をしていた。

●L・ファビアーノの“神の手”ゴールに本家マラドーナ監督は…

●【W杯】「神の手」「アンリ二世」ブラジルFWファビアーノは「美しいゴールには疑惑が必要」

一般的な日本人の感覚からすれば奇異に感じるだろうが、南米の人達の発言を聞いていると完全に自己中心派で反則を反則と認めない。ちなみに2010年06月22日の日本経済新聞・朝刊35頁によると、今回のルイス・ファビアーノの神の手はブラジル国内の 7割近くの人が容認している。逆にコートジボアールの選手からすれば怒り収まらずといったところだろうか。何しろ1対0ならまだしもあのファビアーノのゴールで2対0、ブラジル相手に2点を取り返すのは容易ではなく、この時点で勝負の態勢というかグループリーグ敗退は決定してしまったのだ。

こうなってくると怒りの矛先をどこかに向けなければならないのが人情だが、コートジボアールの選手が狙ったのはブラジルのエース・カカ。動画(再生から20秒付近)を見れば分かると思うが、カカの軽く胸を突いただけのプレイに対して、大げさに肘打ちを喰らったかのように胸でなく顔をおおって倒れ込む始末だ。カカ退場をしてやったりと内心ほくそ笑んでいるに違いないが、実はこのカカの退場、初戦ならまだしもこの二戦目の退場では殆ど影響がない。一昨日行われたブラジル対ポルトガル、予想通りの凡戦だったが、カカ不在のブラジルは攻撃の流れがスムーズではなく、代役のジュリオ・バチスタでは完全に役不足。カカ不在の影響がどれほどのものなのかを改めて周囲に知らしめたが、両チームともにグループリーグ突破がほぼ確実の情勢ではむしろカカに休養を与えるいい口実になってしまった。

●2010年05月10日 南アフリカワールドカップ決勝戦会場・FNBスタジアム
アマチュアスポーツであるオリンピック程度のレベルの競技目線でワールドカップを見てもらっては困るのだ。高校野球の大会宣言のような『スポーツマンシップに乗っ取り正々堂々と戦います』なんて考えて競技場に立つ選手は皆無だ。建前はスポーツマンシップを尊重しながらも隙あれば寝首を掻こうと監督以下全ての選手が待ち構えている、まさに権謀術数が蠢(うごめ)く魑魅魍魎の世界。


このブログでは何度も書いているが、やられたらやり返す、だまされた方が悪い、分からなければ良い。全ての選手がそのようにプレイしているとは言わないが、みんなそのような気構えを持ちながら戦っているのは事実なのだ。その意味で日本対オランダ戦の0 対1、残り時間あと僅かのロスタイムであわや日本のPK(ペナルティキック)かと思った場面を記憶している人も多いだろう。2010年06月22日の読売新聞朝刊20頁の長友のコメントによると『PKをもらいにいきました』とはっきり言っているが、結果としてはPKを獲得することは出来なかった。あの場面でPKを狙いに行くとは日本人選手もだいぶ進化したものだと大いに評価したいが、結果は取ってもらえず。まだまだルイス・ファビアーノとは役者が違うということなのだろう。

日本人選手の動きを見ているとみんな素直。岡田監督の指示を忠実に守っている姿はそれはそれで微笑ましいが、ずるさがまるで感じられないのだ。が、ずるさが狡猾になり、さらにエゴがむき出しになってくると今回のフランスみたいに監督を持ってしても制御不可能な事態に直面するだけに、ずるさもほどほどが適切なのだが、それはこれから日本人選手が積極的に学ばなければならない技術でもあるのだろう。最後に南米の小話を紹介するが、日本とは考えが異なるこんな国でマラドーナもファビアーノも生きているのだと理解する一助になればと思う。

南米在住の友人を訪ねて日本から遊びに行った人が居る。レンタカーで各地を見て回り、いざ帰ろうとしたら最終日になってエアコンが不調。その日は初夏の季節到来かと思わせるほどに蒸し暑く、エアコン無しで移動するにはかなりの難儀だったらしい。こうなってくると文句の一つや二つ言いたくなるもので、南米在住の友人にレンタカーを返すときに担当員に掛け合って『エアコン不調だったから料金割引を要求しよう』と提案したところ却下された。日本人の感覚からすればなにも問題なしのように思えるが、ここ南米でそれをやると『お前がエアコンを壊したのだろう、弁償しろ』と逆に裁判沙汰になってしまうというのだ。だから『エアコンの調子が悪かったみたい。次回から頼むよ』っていうのが南米で生き抜いていく知恵なのだという。

(追記)
大方の予想を覆して二勝一敗でグループリーグを突破した日本代表は大いに評価したいと思う。正直なところ三戦全敗の敗退を予想していただけに、日本サッカー界の歴史に新たなる一頁を付け加えたと言っていいだろう。今までは90分間見ているのが苦痛で退屈極まりないサッカーを展開していたが、日本対オランダ戦の戦い方で新たなる境地に到達したと見ている。

全ては初戦勝利からくる自信が選手に浸透し岡田監督の采配と合致したためだろう。が、本当の勝負はこれからだ。これでやっと欧州南米諸国は日本とまじめに試合をする気になるからだ。韓国対ウルグアイ戦を見ていると、ゴール近辺でのミリ単位での精度が韓国はウルグアイより落ちる。内容は五分でもそれでも勝てないのはそこに理由があるのだ。

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Last updated  2010年06月27日 12時04分01秒
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