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テーマ:サッカーあれこれ(20141)
カテゴリ:┣ ★サッカーについて★
日本対パラグアイ戦。
前半を見終えた感想は正直平凡で退屈な試合だった。日本代表チームの試合だから我慢して見ていたが、さすがに90分過ぎたところで眠くなってきたこともあり、テレビを消してしまった。この後、延長戦に突入し最後はPK戦にもつれ込むことは容易に想像出来たが、対戦前日に投稿した予想コメントでは以下のように記している。 『日本代表はグループリーグ三試合すべてで全精力を注ぎ込んで戦ってきました。そうしなければ突破出来なかったわけですから仕方のないことですが、今までは前哨戦。最終ステージに上がるための権利をようやく手にしたわけです。が、ブラジル・ポルトガル・スペインの最終戦を見てもわかるように、最後は無益な体力消耗を避けるためになあなあ試合になりました。この点で日本代表は精神的には自信に満ち溢れていても体力的には相当しんどい状況にあるはずです。パラグアイの最終戦は見ていませんが、南米予選や南米選手権でブラジル、アルゼンチンの強国に囲まれボコボコにされて力をつけている国。苦戦が予想されますが、PK戦に持ち込めれば勝機が見いだせるかもしれません』 欧州南米の強国であっても毎試合素晴らしい試合を展開する事は殆どなく、退屈で無味乾燥な試合も多々あるので別に日本代表もパラグアイ代表も責める気は毛頭ないが、冷静な目を持って見ていれば、グループリーグ三試合とはまるで様相が異なったのに気が付くはずだ。 前半戦を見ていると日本、パラグアイともに単純ミスがかなり多かったが、最大の理由はやはり疲れだろう。富士山登頂後に間髪を入れず、次はエベレスト山登頂の開始だ。頭では理解していても、いざ実際に動いてみると予想以上に体が重たい、あるいはいつもより切れがない。ブラジルにしろアルゼンチンにしろ強国の三戦目の先発メンバーを見ていると、第三戦目は完全な休養日。エベレスト山登頂に必要なのは全七試合だが、七試合ぶっ続けはとても体が持たないのだ。だから強国はみんな尻上がりに調子が良くなっていくように、自分のコンディションを整えていく術(すべ)を知っている。それに対し、日本は初戦から第三戦目までずっと飛ばしっぱなし。力量的に手を抜ける試合が一つもないからだが、しかもその上システムおよびメンバーは固定しているために疲労の蓄積は増す一方だ。 頭では分かっているのだが、体が付いていかないために止める、蹴る、走る事に対して微妙な感覚のずれが生じているのだろう。自分ではきちんとボールをA地点に止めたつもりなのに、結果はA地点より左に3センチずれている。B地点に向かって蹴ったつもりなのに精度を欠き、B地点より右に10センチずれている。意識、無意識を問わずに疲労から来る回避出来ないずれが生じているために、その分修正に時間がかかってしまうのだ。2010年06月30日読売新聞朝刊3頁に掲載された本田圭佑選手のコメントが端的にそれを示している。『俺の中ではグループリーグ敗退も16強も一緒という感じ。きょうは何がなんでも勝ちたかった。もっと攻めに行く姿勢を世界に見せるべきだったとも思う。俺が日本人かパラグアイ人でなければ、この試合は見ていない』 2010年06月30日 読売新聞夕刊02頁より引用。 それにしても困ったのがこの読売新聞の『侍 世界と紙一重』の見出し文字だ。大本営発表と同質の誇大表現だが、読売新聞の2009年度発行部数は1002万部。単純計算でも13人に1人は読売新聞を読んでいるだけに射幸性や悪質性は高い。どこが世界と紙一重なのか?もしこの見出し文字を考えた人が本気でそう思っているのならば、眼医者に行ったほうがいいだろう。 日本対パラグアイ戦の直後に行われたスペイン対ポルトガル。イニエスタ、シャビ、ビジャの絡み合った得点場面を見て欲しい。最も選手の動きがよく掴める、高みの場所から見ている我々でさえ、あのタイミングでイニエスタがあの方向にパスを通すことを予測出来た者は少ないはず。大小の穴が複合的に重なりながらも、かろうじてサッカーボールだけが通り得る輪を瞬時に見つけ出し解を求める技術は、まるで複雑な連立方程式を一瞬にして解いてしまう手品を見せられているかのようだ。しかも匕首(あいくち)を喉元に突き刺すかのようなスルーパスは確実に相手を瞬殺している。 普通あのタイミングで出されれば、そのパスを受ける側も困るものだが、しかしシャビ、動じることなくヒールパスで、これまたビジャへの絶妙のお膳立てを難なくとこなしている。確固たる技術を身に付けた者だけが理解し得る、ボールに託した想いを瞬時に受け手が読み取り、得点につなげる技術の高さをなんと表現したらいいのだろう。 岡田監督の公言通りのベスト4に進出するためにはこのスペインを倒さなければならなかったはずだが、スペインの前線トーレス、イニエスタ、シャビ、ビジャに対する日本代表の前線は本田圭佑、大久保嘉人、松井大輔、遠藤保仁、長谷部誠。フォーメーションに若干の違いはあるものの、同じ人間ながらなぜにこれほどの差があるのか、その力量や資質を深慮すると一朝一夕には埋めることが不可能なほどの圧倒的ともいえる差があることにしばし呆然としてしまう。サッカーは単なるスポーツではない。その国の民族、文化、歴史、伝統、技術、経験が幾重にも凝縮された巨大な壁であり、新参者が容易に破ることが可能な『世界と紙一重』の紙ではないのだ。 神の手を二度も使いながらも反省の色など全く窺えず、逆に悪びれずにそれを公言するルイスファビアーノのふてぶてしさ、韓国守備陣を蟻のように右往左往させたアルゼンチン攻撃陣の狡猾さ、電光石火の、これぞカウンターというお手本を二発見せたドイツ攻撃陣のしたたかさ、そしてチリ相手に利き足ではない左足で先制点を挙げたビジャの慧眼(けいがん)さ。一体このレベルに到達するまでに何年の時間がかかることだろう。一部では次のワールドカップでベスト8を狙うのような記事も見られたが笑止千万。いずれ書くこともあるかもしれないが、過去の経験則に照らし合わせれば2014年はベスト16どころかグループリーグ敗退の可能性の方が遥かに高い。冒頭で書いた通りパラグアイはブラジルとアルゼンチンに挟まれた国だが、ワールドカップ初出場は1930年だ。つまり80年かけてようやくベスト8まで進んだことになる。最後に同じような見方をしている記事を偶然発見したが、この文章はそのサイトを見る前に書きあげていることは記しておきたい。 ●「日本がより上にいくには決定力向上が必須」フランス名門紙が日本に敬意あるコメント 関連記事 ●2010年06月27日 ブラジル対コートジボアール・ルイスファビアーノの神の手 ●2010年06月27日 アルゼンチン対韓国戦・メッシのループパス ●2010年06月20日 日本対オランダ戦の感想 ●2010年06月13日 ワールドカップで勝ち進むための条件 ●2010年06月12日 ワールドカップ・スペインは勝ち進めるか? ●2010年05月31日 ヨハネスブルグのダイアモンドビルディング ●2009年12月29日 2010年ワールドカップのグループ分析 ●2009年12月05日 2010年ワールドカップの組み合わせの感想 ●2008年09月27日 ★サッカー南米予選の面白さ★ ●2008年08月16日 ★ちょっと情けないと思うオリンピックサッカー★ ●2008年08月09日 ★オリンピックを前に思うもの★ ●2008年06月08日 ★オリンピックのサッカー★ ●2008年05月04日 ★EURO2008が開催される★ ●2008年02月17日 ★佳境に入った欧州チャンピオンズリーグ★ ●2007年12月15日 ★ACミラン対浦和レッズの感想★ ●2007年02月11日 ★ロナウド、途中出場に期待★ ●2007年02月04日 ★セリエA 観客無しで再開か?★ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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2010年07月03日 16時21分04秒
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