2012年09月14日 読売新聞朝刊より引用
新型iPhone 5が発表されると聞き、個人的に一番注目していたのは画面解像度と端末本体の横幅だ。iPhone 4Sとは対照的にAndroid端末の主流は4.3~4.8インチと画面の肥大化は進む一方。メールチェックやウェブ閲覧など受動的な操作が多いときにはこの大画面Android端末は重宝するのだが、メール作成など能動的な操作の時には少々横幅が広くて使いにくい。4.0~4.3インチぐらいがベストサイズのような気がしないでもないのだが、現状のiPhone 4Sは3.5インチとやや手狭。iPhoneとの差別化を訴えるべく肥大化を続けるAndroid端末に対して果たしてどのような対抗策を打ち出してくるのか、興味津々だった。
実はiPhone 5と名乗っているゆえに多くの人は5代目iPhoneと勘違いしそうだが、実質は6代目。その横幅を調べてみると、初代61ミリ,2代目と3代目は62.1ミリとなっているが、4代目以降6代目までは全て58.6ミリと全く変わっていないのが分かる。
過去さまざまなデスクトップPCやノートPC、さらにはモバイル機器を購入したが、次モデルはいろんな意味でスペックアップし、より大型化するのに対し、iPhoneは発売以来、頑なに60ミリ以下という数字に拘っているように見える。ひとかどの見識というよりも哲学に近いものを感じるが、自分たちがベストサイズと信じたものをだけを提供するその姿勢は、むしろ清々しさすら感じさせるのだ。
それにしてもiPhone 4Sと比較すると、20%軽くなっているというが、これも驚異的な数字だと思う。前モデル比で20%の軽量化は滅多にお目にかかれない数時だが、一つ一つの構成素材を徹底的に見直して積み上げた結果。iPhone 対 Android端末の競争がますます激しくなる中で、決してぶれることなくひたすら自分たちが信じた道を突き進んでいると言っていいだろう。一般的には万人向けの扱いやすいスマートフォンがiPhone、自分でいじりこんで独自仕様に仕立てるのが好きな人はAndroidと分かれるが、このたびのiPhone 5の完成度を見ていると、やはりこの世の中で大多数を占める万人向けにはこれがちょうど良い気がする。
仕様表を見ても分かるように突出した仕様や機能は何一つない。LTE対応を除くと、仕様表だけを見せられたら一世代前のモデルと勘違いしそうだが、これらがすべて組み合わされたときに相乗効果が発揮され、無類の強さを誇るのだ。
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