2009年08月29日に『ネットを使えない奇妙な選挙』を投稿してから3年が経過した。状況は少しでも改善されているのかなと思って調べて見えると相も変わらず、公職選挙法の規定によりネットで主張を述べることは出来ないらしい。都内のJRや地下鉄に乗車してみれば分かることだが、昨今紙の新聞を読んでいる人間は珍しくて殆どが携帯電話ないしはスマートフォンだ。もう駅前の街頭演説の時代なんてとっくの昔に終わっているのに、いまだ旧態依然とした公職選挙法の規定に縛られているのはなんとも奇妙な光景だが、個人的にネット解禁を認めるべきだと思うのは比較がしやすくなるからだ。
各党の選挙公約というか、主張を聞いていると、おい、おい、本当にそれ実現出来るのと思う美辞麗句ばかり。有権者に受け入れられやすくするために耳障りのいい言葉ばかりを並べているが、ネットが解禁されると『その後』の比較がしやすくなるのだ。左側には2012年12年に主張したYouTube動画、右側には2013年6月の国会での答弁、同一人物による言動比較が一目瞭然となるために、本音や正体がバレバレとなる。そういえば証人喚問中の国会議員のテレビ中継が一度解禁されて、その後また禁止になったように、やっぱり『比較』されるのはまずいと考えているのだろう。議員定数是正もそうだが、自分たちの首を絞めることだけは常に先送りしているのはいただけないものだ。
●ネット選挙「第一声」はいつ? 師走の決戦(3)
2012/12/7
衆院選公示日の4日、日本維新の会代表の石原慎太郎は大阪市での第一声で、傍らに立つ代表代行の橋下徹をほめちぎった。「橋下くんにほれた。この牛若丸を頼朝にする。それで日本の政治は変わる。維新をやろう」
橋下がミニブログの「ツイッター」でつぶやいたのはその直後だった。「公職選挙法はダメだ。インターネットでの政策の主張を認めない」
公示後に候補者がホームページ(HP)やツイッターを更新すれば、公選法が禁じる「文書図画の頒布」とみなされる。だから、選挙戦の前夜には候補者たちのHPに「しばらく更新を休みます」の文字が躍る。「バカみたいなルールだ」。橋下は公然と反旗を翻す。
ツイッターには一度に140字までしか書き込めない。橋下は短時間に何度もつぶやくことで、字数の壁を軽々と越える。歯切れのよい語り口が人気を集め、フォロワーは90万人に膨らんだ。
官房長官の藤村修は橋下のツイッター利用を「公選法の規定に抵触する恐れが強い」とけん制する。しかし、橋下は意に介さない。「維新が使えるのは、ぼくのせこいツイッターだけ」。6日のさいたま市での演説でも、つぶやきをやめる考えはないと宣言した。
みんなの党代表の渡辺喜美も、ネットを通じた情報発信に力を入れる。公示前、党所属の前衆院議員と参院議員にタブレット(多機能携帯端末)の「iPad mini(アイパッドミニ)」を配ると決めた。ただ、納入が遅れて4日の公示には間に合わなかった。
衆院選に出馬していない橋下と違い、渡辺は公示後にネットで情報を発信し続けるわけにいかない。公示前の3日夜、フェイスブックで「政治を諦めないでほしい」とネット上で「最後の訴え」をした。渡辺の使い込んだiPadは今、情報を発信するのではなく、集めるための道具としてしか機能していない。
ネット選挙の解禁に向けた公選法の改正案は衆院解散で廃案になった。解禁をめざす民間の運動「One Voice Campaign」発起人の原田謙介は「これだけネットが普及している時代に即していない」と嘆く。公選法が制定されて62年がたつ。
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