この花びらが開いたかのような巨大建造物は一体何なのかと思うだろうが、実はこれ、ただいま羽田クロノゲートで建造中の体育館とセレモニーの機能を兼ね備えた施設だという。1枚あたり約90トンというから想像を絶する重量だが、その詳細が日経新聞に掲載されていたので紹介したい。
「花びら」開いて大空間 ヤマト、羽田に巨大物流拠点
1枚約90tの巨大なプレキャストコンクリート板が円形に並んだ姿は、まるで花びらのよう。鉄骨屋根を持ち上げながら「花びら」が開くと、大空間の体育館が半日で上棟する――。こんな前例のない工事が、ヤマト運輸が約1400億円を投じて整備する物流ターミナル「羽田クロノゲート」で最盛期を迎えている。完成すればヤマトグループ最大規模の物流施設となる。
移動式クレーンが林立する羽田クロノゲートの工事現場。クレーンの数は、750tが1台、650tが2台、600tが1台、500tが3台。「建築現場ではまず見られない数と大きさだ」(鹿島羽田物流ターミナル新築工事の岡本厚志副所長)(写真:日経アーキテクチュア)
【ステップ1】 工場でプレキャストコンクリート板を製作し、現場に運搬
1枚のプレキャストコンクリート板は約90t。輸送限界を超えるため、工場では1枚を3つのパネルに分割して製作した。施工精度を考えて、プレキャストコンクリートの製作に使用した型枠は1つだけ。まずセンターパネルを打設し、その後でセンターパネルの側面を型枠として利用し、サイドパネルを製作した。
【ステップ2】 プレキャストコンクリート板を現場で地組み
鹿島が最も気を使ったのが、プレキャストコンクリート板を組み立てる位置と、その下に置くベースプレートの施工だ。90tのプレキャストコンクリート板は移動式クレーンでは吊れないので、まず3つのパネルをそれぞれ吊り上げて正しい位置に運び、連結する。ベースプレートのヒンジとつなぎ、プレキャストコンクリート板の端部を吊り上げる手順だ。
【ステップ3】 プレキャストコンクリート板を建て起こし、ベントで固定
24枚のプレキャストコンクリート板のうち、屋根を引き上げるために使うのは12枚(以下、先行プレキャストコンクリート板)。先行プレキャストコンクリート板を建て起こしてベントで固定してから、ほかの12枚の後行プレキャストコンクリート板の地組立て、建て起こしを進める。建て起こしには、500tクレーンを使って半日の時間が必要だった。 |