少女漫画感想・『エイリアン通り』
以前から読んでみたかった作品です。『エイリアン通り(ストリート)』(成田美名子先生・文庫版全4巻)アラブ石油相の息子・シャールの多国籍アメリカンライフ。成田美名子先生の初長編にして、大ヒット作ということで。タイトルからは、全く想像できない内容でした。この方の作品は、多国籍・・・というか、異文化を背景にした魅惑的な人間を理解していくという、独特なお話が多いなぁ・・・と思います。この作品も、そういう作品でした。ただ、他作品より「エンタメ色が強い」・・・印象でしょうか。だんだん現実味?というか、後年の作品になるほど、エンタメ色は薄れ、より読んでいながら、異文化理解を実体験するような作品になる印象です。エンタメ色が強い分、この作品は今まで読んだ成田美名子先生の作品の中では、いちばん読みやすかったなぁ・・・と思います。とにかくシャール君が、いないいないこんな人間、っていう魅力的な人間で;15歳にしてスキップで大学に通う頭脳、女性かと見間違うほどの美貌と、天才的な演技力を兼ね備え、それでいて突っ張ってたり甘えたがりだったり。そんな彼に引き寄せられ、共同生活を送るのはシャール、ジャーナリスト志望のフランス人留学生・ジェラール、イギリス人の執事・バトラー、身元不明の日本人少女・翼、遊牧民の出身で、シャールの世話係だった青年・セレム。登場人物も「何をやろうとしてこうなったのか?」という状態ですが、各エピソードの跳び具合もまた凄くって。細菌がどーのという話から黄金探しやら校庭の白骨死体の真実やら、映画オーディションやら。どうも、いろんな映画を下地にエピソードが作られているようなので、もっと映画知識があれば、より一層楽しめるんじゃないかな。ただ!これだけ登場人物もエピソードもモチーフもサラダボールな作品なのに、なんっかまとまってる気がする!言ってしまうと、全て後に「懐かしむ日々」にまとまっちゃう。最後にそうやってまとめている、というのもありますが、それだけじゃなくって・・・やっぱり主役・シャール君のスペックあってのことだと思います。人も出来ごとも、これだけ幅広く愛してるから・・・なのかなぁ。全部「彼をとりまく人物・物語」だと思えちゃう。・・・面白かったです!成田美名子先生の作品は、「もっと知識・教養があれば面白いんだろうな!」って思って、いつもちょっと悔しいです;BY姉