暁のヨナ 29巻感想(姉編)
『暁のヨナ 29巻感想(姉編)』*以下、私のくせでやたらと断定的な書き方になってると思いますが、あくまでいち読者の勝手な作品解釈ですので、語尾に「…たぶん。」とか「と、私は受け取ってます。」を脳内補完で付けてお読みください。*分かってるんです・・・この作品を、真っ当に一生懸命読んで来た読者の方が、流石に不安になっているのは分かっているんです。連載10年目・28巻にもなって、主役に「旅の目的はない」とか言われたら、読者的にはそりゃ「結局なんなんだよ」ってなりますよね。当然です。斉国・真国編を終え、さぁ本題(スウォンさん方面)へ突っ込んで行くのかな?!と思っていたところに、お姫様攫われる展開(回想編入れたら3回目)とか、北戒の豪族侵略(2回目)とか来られたら、本当に行き当たりばったりでだらついてるだけなのかな、この漫画?ってなりますよね・・・と。いち読者の分際でこんなことを言うのも何なんですが…こんな辺境の個人ブログで叫んだところで、どれくらいの読者に伝わるか知りませんが…好き勝手に言うだけ言い散らかします!大丈夫です!安心してください!『暁のヨナ』には、ちゃんと本筋があります!主要キャラクターたち、故人のキャラクターたちの人生筋、行動の目的、今まで小出しに振ってきた高華国の歴史・設定・・・これらの要素がすべて無駄なく、全部活きる大筋がちゃんとあります。未だ、この大筋の存在は作中で明確に説明はされていませんが、はっきりと描写はされています。29巻なんて、延々と一つの描写しか描かれてませんでした。この暁のヨナの本筋は、説明されれば少女漫画脳で感覚的に掴むことが出来ますしやろうとしていることは、本当に超少女漫画です。多分。ですが、いざその筋を成立させている背景を説明しようとすると、そこの作り込みは非常に論理的で、難解です。ここの作り込みの方法が、少女漫画読者層向けじゃないんですよ。社会的ツールでの条件列記とその潰し込みや、リスクバランスの話になってくるので。ここの読解は、社会人男性が一番得意かもしれません。恐らくですが、この大筋・仕掛けに関しては、連載立ち上げ時に、白泉社屈指の敏腕編集さん(男性)と草凪先生とで、綿密な打ち合わせをしながら作り込んだ部分だと思います。たぶん。この段階で、編集長及び編集上層部には論理立てた詳細説明がなされていますし、その上で連載開始のGOサインも出されてるはずです。たぶん。連載開始後は、(おそらく)10巻以内くらいで連載をまとめることになっても可能な形での控えめな描写がなされていましたが、阿波編序盤までで、キャラクター・描写がキレ始めたところで、編集部内での、本格的な長編連載化への2度目のGOサインが出ていると思います。たぶん。その後の音声化・TVアニメ化に関しても、花とゆめ編集部の意地をかけた営業あってのものだと思っています。また、間違いなくアニメ制作陣へは、「暁のヨナ」という作品の読み解き方のレクチャーがなされています。アニメは、そうでなきゃこうならない、という描写の盛り方のオンパレードでした。アニメ制作において、超高級制作会社&男性の監督さまがあれだけのテンションで、最高級アニメーターを投入して作り込める「大筋」が、この作品にはあるんです。大筋もない、盛りどころのない作品を、(広告業界主導のタイアップメディアミックスでもないのに)雑誌の看板に持って来たり、映像化で作り込んだりしませんから!そして…いち読者として、個人的な叫びですが、私自身、「大筋があるかどうか」が一番気になる性分の読者なんです。読み終わって一本筋が通っている作品が、大好きなんです。語ってもどうしようもない、筋道の見出せない作品の長文感想記事を、(2人ががりですが)250記事以上も延々と書き続けることなんてしませんから!語りどころがあるから・・・未だかつて観たことがない次元の、壮大な隠れ大筋がこの作品にはあるから、だから一生懸命、その価値を叫んでいるんですから!以下、多分読者の中にはここが引っかかる方が居るだろうな・・・という点に関して、私的・お薦めの読み方です。★王を守護する矛と楯って、結局何?→この予言については、私はあまり深く考えてません;結構どうにでも解釈できる予言ですし、そもそもこの予言自体、読者の思考動線を拡散させるためのミスリード的要素が強いんじゃないかな、とすら思っています。いや、もちろん草凪先生の中で最初から構想はあると思いますし、「なるほど!」という筋に載せて来るとは思うのですが…。★作品及びヨナちゃんの旅の目的が謎→1~3巻を、熟読してみてください。全然隠してないです。ヨナ姫が、旅を始める3巻で何回も何回も、泣きながら訴えていることがあります。これが旅の目的です。そして、ハクさんの描写…感情の起伏・状態だけにひたすら注視して、最新巻まで読み切ってください。これが作品を引っ張る、ヨナちゃんの唯一絶対の視点です。★スウォンさんの謀反劇の理由が謎。→正直これは、出だしで本人がはぐらかしている部分があると思ってます。暁のヨナ、最大のミステリーでもありますし。ただ「これが謀反劇の理由だ」という言い方ではありませんが、そこに繋がる事実・感情について、スウォンさんの口からかなりはっきりとた言葉がそこかしこに見受けられます。ヨナちゃんとスウォンさんに関しては、自身の感情をはぐらかすことはあれど、事実・状況についてはきちんと認識し、ちゃんと言葉でその説明をしてくれています。「自分がもしこの立場だったら」まで入り込んで、本気で捉えに行けば・・・多分この2人にも非常に人間くさい感情が渦巻いている事が分かるはずです。ちゃんと描いてありますから!!妙なテンションの感想記事で、申し訳ありませんでした;ただ、大筋をゆっくり着実に辿ってきたこの作品が、29巻の、この描写までたどり着いた段階なので・・・言いたいことは、一つしかないんです。繰り返しますが・・・この作品には、大筋がちゃんとあります。ちょっとひねくれた形で仕掛けてあるだけです。そして29巻まで来て、もう「答え」はほとんど描写に落とし込まれてます。作中の1コマ1コマの構図取りだって、どんどん変わって、読者に認識を促して来ています。カラーイラストの1枚1枚にしたって、全然内容が変わって来ています!・・・でも言葉で説明してないから、読者にはほとんど認識されてません。さながら、トリックアートみたいになってます。特に1-3巻を重点的に読み直して、是非描いてあるものを、ちゃんと捉え直してみてください!本当にもう・・・これしか言えないもどかしさがもう・・・・・・くぅっっ!本当に、凄い作品だからっ・・・!こんなもん描こうとして来た作品、他にないからっ・・・!!by姉