青年漫画感想『私のアリカ 1巻』(藤沢もやし・隈屑。先生)
第1巻が発売され、早速購入しました。青年漫画感想『私のアリカ 1巻』(原作:藤沢もやし、漫画:隈屑。、ヤングマガジン)アイドルグループ「りりかるトリック」のセンター・真宮アリカが突如失踪してから1年。事件未解決のまま、グループは接触イベントの解禁と第3期メンバーの公開オーディションに踏み切った。新メンバー候補生の一人・不愛想な少女・宮嶋ナナは、強い決意を秘め、オーディションに臨んでいた。「アリカ失踪の謎」を、運営・グループメンバー内部から探るー…。前作・『御手洗家、炎上する』が大好きだった藤沢もやし先生が、原作(ネームまでかな?)を担当されている新作です。…いやぁ、超面白いです!!『御手洗家~』は女性誌・Kissの連載でしたが、今回は青年誌・ヤングマガジンでの連載とのことで、掲載誌・ジャンルの垣根を超えるほど、講談社内における、藤沢先生の前作の話づくりが高評価だったのだろうと思います。『御手洗家~』は全8冊で、ミステリーとして、更に、複数の登場人物たちの人生が詰め込まれた成長・ラブストーリーとして、本当に噛み応え、満足感のある物語でした。また、キャラクターづくり、お話回しという点だけではなく、妹が『御手洗家~』の感想記事で大絶賛していた通り、ご本人の作画も、漫画表現が非常に優れていて、絵力がとてもある作品でした。ですので、今回の青年誌での連載作品企画を知ったとき、「今回は藤沢先生は原作だけなのか…」と少しがっかりしていたのですが、そんなのはまったく杞憂でした!作画の隈屑。先生が、藤沢先生の、謎を多くはらんだ心理描写、またアイドルという華やかな人物たちを、非常に説得力のある画面・絵力で、違和感なく描写してくださってます。アイドルというプロジェクトの運営・メンバー内部、享受者であるオタク界隈、それぞれにまだまだ謎めいた登場人物たちが散見される中で、当の失踪した「アリカ」本人の情報も全く見えていない状況です。正統なミステリー作品として、今後どのように展開していくのか、大変気になります。それと同時並行で、「アリカ」というアイドルの光に導かれ、アイドルの世界に足を踏み入れたナナちゃんが、りりかるトリック/アイドル界という華やかで愛憎渦巻くステージの中でのし上がっていく、真っ当な成長アイドル・サクセスストーリーとしても期待感を持って読めるつくりになっています。第1巻では、第3期生候補のお披露目ライブまでが描かれます。1冊として、魅せ場までのナナちゃんの心情変遷がとても丁寧で、「ナナちゃん、頑張れ!輝け!」と、立派な「ナナちゃん推し」になりながら読み進めることが出来ました。大満足の1巻でした。『私のアリカ』…お話、設定ともによくよく練った状態で連載スタートしているのを感じます。藤沢先生の満足感の高い話回し、意外性も納得感もある着地には、全幅の信頼を置いております。作画も素晴らしいです。第2巻は7月発売予定とのことで、楽しみにしております!興味のある方は、是非!by姉