舞台感想『サンソン ールイ16世の首を刎ねた男ー』
久しぶりに妹と二人で、長野・松本で舞台鑑賞してきました!前回の舞台鑑賞が、コロナで本格的な行動制限がかかる直前…2020年1月に、横浜で鑑賞した草彅剛主演・『アルトゥロ・ウイの興隆』でした。まる3年以上ぶり…ですね。本当に楽しかったです!簡単にですが、感想を。舞台感想『サンソン ールイ16世の首を刎ねた男ー』(2023/5/20~21、まつもと市民芸術館、白井晃演出)18世紀・フランス・パリ。代々、死刑執行を生業としてきたサンソン家を継いだシャルル=アンリ・サンソン。当時の死刑制度は、貴族は斬首、平民は絞首刑もしくは拷問を伴う残虐な方法と定められていた。医師・ジョゼフ・ギヨタンとサンソンは、身分に寄らず、苦痛を与えない刑制度を目指し、断頭台…ギロチンの開発・制作をルイ16世に提言・快諾を得て着手し始める。フランス革命~恐怖政治の真っただ中において、死刑廃止論を熱心に唱えながらも、数千の死刑執行を行い、敬愛するルイ16世の死刑までも執り行うことになった処刑人の見る「世界」とは…?『アルトゥロ・ウイの興隆』と同じ、白井晃さん演出の舞台です。『アルトゥロ~』は、アドルフ・ヒトラー率いる国家社会主義ドイツ労働者党(ナチス)が独裁政権を確立する前後・1932~34年頃の出来事を中心に、それらをアメリカ・シカゴのギャングたちという設定に置き換えて描いた作品でした。こちらは、政治的出来事について設定の置き換えをして描く舞台でしたので、ナチス成り上がり時の大雑把な事前知識がないと、なかなか掴みづらい作品だったと思います。本作・『サンソン』は、舞台・登場人物の設定置き換えはありませんので、事前知識がそれほどなくとも、入っていきやすかったです。(もちろん、詳しければ詳しいほど、拾える情報がたくさんあって、より楽しめると思います。)以下、個々の役者様や印象的だった部分について。・本舞台で印象的だったのは、とにかく『群衆』!エキストラさんが非常に多かったです。(20人くらい居らっしゃったかな?)舞台は、両端と舞台奥に、立体的な足場が設けられており、群衆が、舞台の3方向から(高いところからも)押し寄せてくる演出が多様されていました。前作『アルトゥロ~』も、「群衆の熱狂」演出がとても印象的でしたが、本作は明確に「『群衆』が主役」と言い切れるような作りになっていたと思います。役者さまも力があり、また非常にのって演じられている印象で、とても迫力がありました。・シャルル=アンリ・サンソン(稲垣吾郎)処刑人という生業に誇りを持ち、それを遂行しつつも、死刑廃止の嘆願書を何度も出していたという、魅力的な歴史人物です。吾郎くんの演技は、声もよく通り、華やかさ、立ち振る舞いの上品さ、真面目さ…と、非常に説得力があったなぁ、と思います。群衆が次々見境なく「死刑」を求める熱狂状態の中で、「そんなに死刑がやりたいなら、どうぞ私と変わってくれ。喜んでこの立場を差し出す!」というニュアンスのことを叫ぶシーンはとても印象的でした。概念的には、きちんと伝わって来ていましたが、ここではっきりと、現在の「ネット炎上」に通じるような、次々と生贄をエンタメとして求める民衆に対し、「『死刑』などという大事に対し、責任を取る覚悟もなく、主張すること」の罪深さを問い正すようなセリフがあっても良かったかな、と感じました。「『民主主義』や『民意』の無責任さ」をなじるようなセリフ…ですね。・ルイ16世(大鶴佐助)まだ20代の若い役者様だったんですね。優しさ、思慮深さと若干の頼りなさを纏った、イメージぴったりの演技でした。・ロベスピエール(榎木孝明)民衆を扇動する姿が、カッコ良かったです!美声、素敵でした!舞台鑑賞が終わり、妹と真っ先に語ったのが「ロベスピエール超カッコいい!」でした。・鑑賞席・1階席の真ん真ん中一応、新しい地図ファンクラブ先行予約での申し込みだったからなのか分かりませんが、今回の座席は1階席の本当に真ん中連番という、非常に良席でした。作中後半では、本作を象徴する「断頭台」が舞台中央に大きく置かれ、また、先にも書いた通り、立体的な足場で舞台全体を使ったセットで、登場人物たちを左右対称に魅せていくような演出も多かったため、舞台全体の演出がばっちり鑑賞できる今回の座席は、とてもありがたかったです。『新しい地図』が始まってから、これで舞台は4つ目の鑑賞かな?どの舞台も、それぞれに良さ・面白味があって、本当に毎回「行って良かった~!」と大満足しています。やはり、しっかりお金を払って、ガッツリ生で鑑賞するエンタメは、とてもパワーをもらえますね。そして絶対に落ちのない、高品質万歳!(本当はもうないはずなのに、)絶対的に存在する『SMAPブランド』は流石です。今後も、鑑賞出来そうな舞台作品には是非足を運びたいと思っています!ぉまけ。折角松本に来ましたので、舞台鑑賞前に松本城に行ってきました。前回は人が多すぎては入れなかった城内にも入って来ましたよ!ものすごく急な階段をよじ登り、最上階も堪能してきました。念願の月見櫓も内側から見れました。現存天守素敵!満足です!by姉