「償いの雪が降る」アレン・エスケス著 感想メモ
「償いの雪が降る」アレン・エスケンス著 原題-The Life We Bury- 務台夏子=訳 創元推理文庫 2018年12月21日初版【中古】 償いの雪が降る 創元推理文庫/アレン・エスケンス(著者),務台夏子(訳者) 【中古】afb■あらすじ授業で身近な年長者の伝記を書くことになった大学生のジョーは、訪れた介護施設で、末期がん患者のカールを紹介される。カールは三十数年前に少女暴行殺人で有罪となった男で、仮釈放され施設で最後の時を過ごしていた。カールは臨終の供述をしたいとインタビューに応じる。話を聴いてジョーは事件に疑問を抱き、真相を探り始めるが……。バリー賞など三冠の鮮烈なデビュー作。■アレン・エスケンス紹介アメリカ、ミズーリ州出身。ミネソタ大学でジャーナリズムの学位を取り、その後、ミネソタ州立大学マンケート校などで、創作を学ぶ。25年間、刑事専門の弁護士として働いてきたが、現在は引退している。デビュー作である本書は、バリー賞・ペーパーバック部門最優秀賞など三冠を獲得し、エドガー賞・アンソニー賞・国際スリラー作家協会賞の各デビュー部門でも最終候補となった。■感想静かな図書館でぱっと目に入り、題名に惹かれて図書館で借りた。主人公のジョー・タルバートは課題のためになぜ介護施設に行ったのか。大好きだったおじいちゃんの代わりに介護施設の入所者を探していたのかな。アルコール依存症的なシングルマザーの母親と自閉症の異父弟の世話をしながら貯めたお金でようやく家を出て大学に通い始めたのに、何故しがみつくいかれた母親のためにお金を出すのか?バーで用心棒をしながら大学に通い、勉強しながら弟を守る。あっちに走りこっちに走り、いつも一生懸命で誠実でちょっと間抜けで問題だらけで必死に頑張っているジョー。そして介護施設で紹介してもらったカールの事件。調べていくと徐々に矛盾点が見えて来て、母親と弟の世話で培われた世渡り術と言うか生き方と言うか乗り超え方と言うか、粘り強く接して行く主人公。苦労人なのにすれていないジョー。素晴らしい資質を沢山備えたんだねジョー。なんて思いつつ、ジョーのトラウマとカールの思いが重なる。ジョーの爽やかな青春も垣間見つつ気持ち良く読み終わった。ちょっと無謀過ぎる感はあったけどね。収束の仕方が気持ち良かった~♪誠実さが顧みられるのってほんと気持ちいい。英語が苦手な私はあちこちで翻訳してみた。「The Life We Bury」・私たちが埋める人生・我々が埋める生命・我々が埋める命・私達が葬るライフ「私たちが葬る人生」がぴったりかな。「償いの雪が降る」はカールの人生を思い出させてとても良い題名だと思った。これからは雪が降り出したら、日常の奇跡に思いを馳せるかもしれない。担当の方、ナイスだ~ヽ(〃v〃)ノ 2019年6月末読了