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テーマ:本のある暮らし(3315)
カテゴリ:本
●読んだ本●
「風の影」上・下 カルロス・ルイス・サフォン著 木村裕美=訳 集英社 ・「風の影」HP ■あらすじ■ -上巻の説明文から抜粋- 1945年のバルセロナ。 霧深い夏の朝、 ダニエル少年は父親に連れて行かれた 「忘れられた本の墓場」で出逢った 『風の影』に深く感動する。 謎の作家フリアン・カラックスの 隠された過去の探求は、 内戦に傷ついた都市の記憶を 甦らせるとともに、 愛と憎悪に満ちた物語の中で 少年の精神を成長させる・・・。 17言語、37カ国で翻訳出版され、 世界中の読者から熱い支持を得ている 本格的歴史、恋愛、冒険ミステリー。 ■感想■ 10歳のダニエルが経験する 様々な出来事を共に経験し、 登場する沢山の人達の人生に そっと寄り添い、 胸いっぱいの人々の生き様と思いを抱え、 一緒に歩いていた20年の歳月。 内戦で傷付いた都市で繰り広げられる 怪しさや恐怖や純愛や親切。 読むほどに引き込まれて ダニエルが生きていたバルセロナの片隅に 一緒に ひっそり生きているような気さえして来た。 ダニエルの苦しみ。 ダニエルの愛。 ダニエルの惑い。 ダニエルの懸命さ。 ダニエルは優しい少年で、 純粋で真っ直ぐだから すぐに好きになった。 それでいて 大人と対等に渡り合う度胸も持ち、 大切な物を守る勇気も持ち、 フリアン・カラックスを追いながら成長して バルセロナの影に潜む危険に身を晒し それでもカラックスを追い続けずには 居られなかった。 生涯で一度だけ出逢う 素晴らしい宝物の一冊の本。 今の携帯やネットが発達した日本では 理解し難いのかもしれない。 でも小説好きな人間には たまらない設定が盛り沢山で 『風の影』とダニエルを中心に 物語が進んでいく。 たまりませんでしたね。 登場人物一人一人を 丁寧に書いてあり、 だから小説の中では 誰しもが生き生きと動き回っている。 複雑な物語が少しずつ見え始め 最後には苦しくなって時々逃げたりしたが 何とか読み終える事が出来た。 最後の行を読み終わった時 涙が沸いて来た。 苦しかった時代を乗り越えた人々への 賞賛の思いと 苦しみの中で のたうちながら生き永らえた人への 苦しい拍手とで 胸が詰まってしまったのだ。 とても感動して、 しばらく放心状態になった。 素晴らしい一冊に出会ったのだと 実感した。 この物語は私の胸の中に 住みついてしまったようだ。 ネタばれになるので書けないが 何もかも納得の行く終わり方だった。 生き残った人間は 幸せになろうね。 残酷な現実が待っていても 飲み込まれないように しっかり立って見渡していようね。 あなたの一番大事なものは 何なんだろう? 私の一番大事なものは ・・・・・・・・・心かな。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
September 22, 2008 02:36:16 PM
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