|
テーマ:本のある暮らし(3315)
カテゴリ:本
●読んだ本● 「夜が終わる場所」クレイグ・ホールデン著 近藤純夫=訳 扶桑社ミステリー ■あらすじ(抜粋) アメリカ中西部の小都市の朝。 警官のマックスとバンクが デニーズで変わりばえのしない朝食を待っていた。 その時、 警察無線が少女の失踪を報じた。 夜勤明けの二人は 招集に応じる義務はなかったが、 バンクはマックスを引っ張るように少女の家に向かい、 母親の前で号泣した。 だが、 バンクの涙にはもっと深い意味があったのだ。 二件の失踪事件は複雑に呼応し、 驚くべき真実に到着することになる。 「ラスト・サンクチュアリ」の著者が放つ 重厚な警察小説。 ■感想 読み出してすぐに魅了された。 これは、 ほぼマックスの目を通して書かれている小説だが 現在の事件と、 マックスとバンクの出会いの子供時代の頃から 青年時代、そして現在に至るまでの 二つの流れに沿った話が 途中から交互に書かれている。 引っ越して 転校していじめられていたマックスと、 両親を亡くして 里親の下で暮らしていたバンク。 二人の少年時代の思い出も 現在の生活も、 緻密で丁寧な心理描写が 彼らの友情と生活を 共に過ごしたような気持ちにさせる。 深く深く、 心の奥に入り込んで行くような 静かに強く心を揺さぶられる 味わい深い、濃い小説だった。 推理小説としても 文学作品としても素晴らしいと思った。 実は途中でこの本を読んだ事があるぞと 気付いたが、 細かい事はみんな忘れていて 哀しい物語だったと言う記憶しかなかったので 改めて楽しむ事が出来た。 二人の人生を共に過ごしたような そんな気持ちになった。 昔読んだ時に私に伝わった悲しみは、 今回は人の思いの違いや 環境が人に与える影響や 人は何をどう選ぶかとか 様々な方向に枝分かれして より内部に入り込んで読めたと思う。 静かな思いと 内に秘めた激しい怒りに彩られた 人の心の彩。 人は何故罪を作り出すのだろうか。 人は何故愛が必要なのだろうか。 憎しみと愛は表裏一体となって 危ういものを抱えて みんな生きているのかな。 うまい言葉が見つからないのだが 人の心の複雑な交差や 人の生き方をしっかり描いた 私の大好物の小説だった。 「人間」に興味のある方は 一読してどうだろうか? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
November 4, 2009 11:48:21 AM
コメント(0) | コメントを書く
[本] カテゴリの最新記事
|