|
テーマ:家族生活(59)
カテゴリ:カテゴリ未分類
本州横断旅行から帰ったラー(息子・22歳)は
すぐに仕事探しを始めたのだが 未だに何も見つかっていない。 せっせと履歴書を書いては面接に行き 落ちている。 ニュースを見ていると 首都圏の景気が良くなっていた時期にも、 東北には 良い景気の影響が全く来なかったのに、 景気が悪くなると すぐに東北に響くのは何故なんだろうか? 友人の息子さんも 十数か所面接を受けたそうで、 隣の息子さんは 2月からこのかた無職だそうだ。 でも こんなに大変だからこそ ラーは 生活の大事さを学んでいるのかなと思う。 だって、旅行中に 「お金を振り込んで下さいませんか」 と言う超低姿勢の電話を2回寄越した彼は、 旅行から帰って来た時も まだ楽観視していた。 旅行から帰って間も無い時、 私と話をしていて 中学生の時の通学用に 安物のシューズを履かされたのが、 内心とても恥ずかった事を 私に語ったのだった。 「あんなダサイもの履かされて」 と言うので、 どんなものなら良かったのか?と聞くと 「アディダスとかナイキとか」 と言う。 「お金が余っている家なら 通学用のシューズに 万単位の物を買えるだろうけど、 私は子供の傍にいてあげたかったから 働かなかったんだけど 高い品物の方か良かった?」 と聞くと、 傍でうるさいよりは 高いシューズの方が良かったらしくて 「いつもダサい格好してて 恥ずかしかった」 と言われた。 自分の感情を 脇に置いて聞けたら良かったんだけれど、 私が夫の収入だけで節約生活をして コツコツ貯金していたからそこ、 夫が長年務めた会社を辞めた後に なかなか仕事が見つからずに 大変な思いをした3年間を 何とかかんとか凌げたのだ。 今だって 節約生活を頑張っているのに 食費を入れた事もないラーに 偉そうな事を言われて頭に来てしまった。 そんなにメーカー品が良いのか?!! 高級品を持っているのが そんなにうれしい事なのか?!! 雨風を凌げる家と 毎回の食事を頂ける事を 感謝すべきではないのか?!! 悔しくて 涙がこみ上げて来た。 勿論、 十代の少年が 見た目や人の目を ひどく気にするのは理解出来る。 でも高級品にばかり目が行くのは 私には理解出来ない。 あなた、 自分の部屋があるだけでも ありがたいと思わないの? 昔、 ドラムをやりたいと言った時、 ドラムを叩ける部屋があったのは すごくありがたい事じゃないの? 節約して貯めたお金があったから この家を失わずに済んだのに。 私は買いたい服も買わずに ボーナス月の時だけ 欲しいCDを買っていたのが とても贅沢に感じていたけれど そんな事すら 馬鹿にするのかあなたは。 など等、 怒りが湧いて来たのだった。 家のローンに、 家と車の税金、 健康保険に年金に、 町内会費に各種保険。 上下水道代に電気代、 ガス代に電話代にBS代。 生活して行くには 好きな物を後回しにして 必要な物から先に凌いでいかないと 成り立たないのに。 携帯代が無いと言っては借りていた ラーの計画性の無さ。 「楽しい事だけしていたい」 と言っては 働いたお金を全部使い切って 何も残さない生活。 ラーの経済観念の無さに ひどく恐怖感を憶えて 夫に 「彼は大丈夫なのだろうか?」 と言った事がある。 すると夫はこう言ったのだった 「失敗すれば良いんだよ」 え?と私は夫の顔を見た。 「人から言われてやった事は 何も身に付かないから、 自分でやって失敗すれば良いんだよ。 そうすれば自分で考えて学ぶから。 人間は失敗しないと学ばないんだよ。 今の日本は子供に失敗しないように 失敗しないようにと教えているから 知恵の無い 経験の無い人間に育ってしまうんだよ。 だからラーも 自分で失敗すれば良いんだよ」 結婚して初めて 夫を尊敬した一言だった。 夫は変わったのだと 初めて実感したのだった。 以前の夫は ラーを型にはめ込もうとした。 私も良かれと思ってラーを 決まり事で縛り付けていた。 ラーはそれが嫌で、 私達が教え込んだ事と逆の事ばかりを ここ数年やり続けている。 自分で納得するまで 私達が教えた事と逆の事をやってみれば良いよ。 そう思っていたけれど あまりにも経済観念がなくて恐かった。 ラーの部屋には 着る事も無い程服が溢れて 床が埋まって積み重なっていた。 兎に角ラーは、 服ばっかり買っていて 部屋に収まりきらなくなっても まだ服を買っていた。 万単位のブーツを買っては カビを生えさせていた。 多分、十代で出来なかった事を 埋めたかったのだと思う。 私達は何も言わなかった。 彼のしたいように、 彼が納得するまでさせた。 そして旅行前にラーは 衣類の殆どを自ら処分したのだった。 そうだった。 夫に言われて思い出した。 ラーは自分で決めないと 全く逆の効果しか得られないのだった。 でもそれはピーもそうで、 私だってそうだ。 私が義務感からやっていた事は 長年の間に不快な事になってしまったし、 動けない何かに 絡め取られてしまっているのは 自分の感情を無視して 「~でなければならない事」 「~であるべき事」 を優先してしまった故の 今頃に襲って来た 後遺症のようなものだと思う。 だから私も今動けない。 ラーだって 自分で選んでいるから動けるのであって それで失敗したら 自分で納得するのではないか? 自分で選んで失敗したら 真剣に考えるのではないか? 自分で経験した失敗なら 知恵になって行くのではないか? 十代二十代の若者でさえ 仕事が無い 不景気際周り無い日本の田舎で、 じたばたしながら 生活する事、 生きる事をラーは学んでいるんだと思う。 それは私も同じで 収入のない私の生活に対する恐怖心は 言葉に出来ないものだ。 壊れた水道管のお陰で 風呂場の改造を余儀無くされ 100万は掛かると言われたので 私は始動する気力を与えられたのかもしれない。 私もこうして 日々学んでいるんだと思う。 自分の人生、 待っているだけでは何も起きないんだから 私も動き出さないと 押しつぶされてしまう。 いつか自分の嫌悪感に 押しつぶされてしまう。 BGM Radioheadの 「Everything in its right place」 http://www.youtube.com/watch?v=VrpGhEVyrk0 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
|