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テーマ:自分を知る(166)
カテゴリ:心
久々に寝込んだ。
雪道の峠が恐いので 電車で山形に行き 中学の同級会に出て、 心身共に混乱して寝込んだ。 山形は雪と氷が一杯で 寒くて暗かった。 中学卒業式以来 初めて会う人が殆どで、 新鮮な反面 状況が読めなかった。 私は高一まで 農村地帯で育った。 私の両親は教師だったので 近所では非常に少ない勤め人だった。 今では同級生の殆どの人が 山形市の中心地に住み、 勤め人や自営業をしていて 農家の人はいないようだった。 幼馴染の一人のTちゃんと話をしたら、 お互いの環境をうらやましいと思っていた事を知り 非常に驚いた。 彼女が欲しかったのは 安定した生活と都会の物。 私が欲しかったのは 彼女の暖かくて穏やかな家族。 だけどうちはお金も食べ物もなかったよ と言ったら彼女は驚いていた。 うちの隣のKちゃんは うちの惨状を良く知っていたから Tちゃんの話を聞いて笑っていた。 K「Mちゃんとは随分遊んだよね」 私「Kちゃんちのゆべしは美味しかった。 Kちゃんのお兄ちゃんも一緒に遊んでくれたよね 大きな小屋の二階にお兄ちゃんの第二の部屋があって そこから地域が全部見渡せた。 夏の青い空と雲が綺麗だったね」 K「よく憶えているね!」 私「子供の頃の記憶はすごく鮮明に覚えているよ」 T「私達が子供の頃は、 ゴム飛びやかくれんぼや鬼ごっこや木登りをして 一日中外で遊びまわっていて 恵まれていたよね。 今の子供達は外では遊ばない」 私「テレビゲームしかしない時代になったよね。 私はTちゃんちの田植えや イチゴのこも掛けを手伝わせてもらって すごく貴重な経験をしたよ。 Kちゃんちの蚕は小さいうちは家の二階で育てて、 暖かくなると庭に大きなテントを張って そこで育てていたよね。 馬もいたよね。 トマトやきゅうりを畑からもいでもらって食べて、 あれは甘くて美味しかった」 T「でもMちゃんはスキーウエアを来て スキー板でスキー滑ってたよね。 私達は肥料袋に座って滑ってたのに。 私はうらやましかった」 M「スキーはお父さんの趣味」 T「ハイソックスをはいていたのは Mちゃんと○ちゃんの二人だけで 二人共勤め人の家だったよね。 オシャレでうらやましかった」 M「あれはお母さんの趣味」 T「Mちゃんちは 両親が働いて安定したお金が入って来るから お金の心配しなくて良いのがうらやましかった。 うちは両親が朝から晩まで働いたって 農家の収入なんかたかが知れているから。 だから私は大人になったら自分で働いて お金に困らない生活をしようと決心したんだよ」 M「でもお給料はおゆうさんが没収して 両親共お小遣いしか貰えなかったから 服も食べ物もなかったよ。 私はお小遣いも貰った事がないから 皆がアイスを買っているのを見ているだけだった。 ご飯も量が決まっているから食べられないし、 野菜や果物も家になったから、 梅干の葉を竹の皮で包んで舐めてたよ。 いつもKちゃんにたかってた。 お金の心配のない生活は今までなかったなぁ」 T「そうかー。うちはMちゃんちから少し離れているから 知らなかった。 豊かな生活をしているんだと思ってた」 M「私はTちゃんの家族が 仲良く協力し合って働いているのを見て うらやましかったよ。 うちは沈黙の闘いか、 罵り合うかでいつも恐ろしかったし、 お母さんは私が優等生じゃないのが気に入らなくて いつも否定ばかりで 褒められた事が一度もなかったから 居場所がなかったんだよね。 言う事をきかないとお母さんには往復ビンタされたし、 お父さんにもみぞおちに蹴りを入れられた。 だから高校生の時にぐれたよ」 T「私はぐれ方が解らなかった。 うちの母は小学校しか出ていないから 私が良い点を取るとすごく喜んでくれて 何をしてもいつも褒めてくれたから 母に心配掛けられないと思ってた。 だから悪い事は出来なかった」 そうかーーー。 だからTちゃんは真面目で勉強家で 優等生でしっかりした働き者だったんだ。 中学生の頃には 近寄り難い雰囲気がしたので 親しく出来なかったんだけど、 大人になったTちゃんは 軽口を叩いてH君と夫婦漫才みたいに ぽんぽん口から冗談を連射しまくる 非常にゆるゆるの お調子者になっていた。 私は軽口が叩けないんだよね。 何故だか、 冗談のやり取りに混ざれないんだよね。 あの優等生だったTちゃんが こんなにイケイケ風の人になるんだなぁと ビックリした。 人は変わるものなんだな、 大人にならないと解らない。 そして私が知らない間に 私の両親と交流を持っていたらしいT君は 私の混迷の人生について語り、 私を諭したのだった。 その雰囲気は申し訳ないけど 気持ちが悪かった。 なんだろう、あの雰囲気は。 獲物を逃さない狩猟者的なT君は 一見丸くなったように見えたけど やはり本質は変わっていないんだなぁと そう思った。 自己陶酔が見えて 気持ち悪かったんだよね。 それを真面目に聞いている自分も 気持ち悪かったんだけど。 T君は強引な口調で、 せっかくの機会なんだから みんなとこういうラフな集まりに もっと参加しろと言い、 二次会でゆっくりして行けと言い、 最終の電車に乗れなくなるなら 山形に泊まれと言うので 抵抗して帰って来た。 天童までの交通手段も 冬の山形の夜は少ないのだ。 外見も雰囲気も 全く変わっていない人もいたし すごく変わっている人もありで なんとも色んな人生ありだなと思った。 氷に閉じ込められたような山形では 寒さに凍えて 早く 青空の見える太平洋側に帰りたいと思った。 寒いのがきつかったのか、 中学の同級生の中にいて疲れたのか 帰ってからずっと背中が痛くて 頭の中がグルグル混乱して ひどく苦しくなり 久しぶりに寝込んでしまった と言う訳。 でも、 冬に叔母に会えたのが 一つは良かったと思った。 Tちゃんが見ていたもの 私が見ていたもの。 自分が持っているものには気付かずに 人が持っているものが 自分に足りないものとして見える。 Tちゃんの話を聞いて そんな事を考えた。 何度も 自分の営業成績の凄さを語っていたT君は コンプレックスがあるから 自慢したいんだろうなぁと思った。 そのコンプレックスの強さを自覚しないで 語っているので なんだか気の毒な気もした。 余裕のあるH君やTちゃんは ずーーーっとふざけた話だけだった。 なんかなぁ。 それで寝込む私もね、 外に出て仕事するのはまだ無理なんだろうか。 とにかく疲れた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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