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カテゴリ:映画鑑賞
イラン映画「彼女が消えた浜辺」
http://www.youtube.com/watch?v=p5JYzTrO_aQ
■作品紹介 本国イランで2009年の興行収入第2位の大ヒットを記録するとともに、 ベルリン国際映画祭で最優秀監督賞(銀熊賞)に輝くなど、 数々の映画賞を受賞した作品。 これまでに日本で公開された多くのイラン映画と 一線を画す心理ミステリーだ。 イランの中流階級の男女がバカンスに興じる シチュエーションで幕を開け、 ある事件に巻き込まれた登場人物たちが 露わにする不安やエゴを映し出しながら、 人間の複雑な内面を暴いていく……。 そんな人間模様を、 予測不能なストーリーテリングで見せる 巧みな展開が面白い。 監督・脚本は新鋭のアスガー・ファルハディ。 イランの文化や風土をも巧みに盛り込んだ、 見応えのある群像ドラマだ。 ■あらすじ テヘランからほど近いカスピ海の沿岸のリゾート地。 セピデー(ゴルシフテェ・ファラハニー)は 大学時代の友人たちに声を掛け、 3日間のヴァカンスを過ごしに来る。 メンバーはドイツでドイツ女性との結婚に破れたアーマド(シャハブ・ホセイニ)、 その妹ナジーと夫マヌチュール、 セピデーの友人ショーレ(メリッラ・ザレイ)と夫ペイマンと子供たち、 セピデーの子供が通う保育園の先生エリ(タラネ・アリシュスティ)。 セピデーはこの旅行を、エリとアーマドの出会いの場にしようと計画していた。 セピデー以外のメンバーとは初対面のエリだったが、 皆が彼女の美しさと聡明さに触れ、彼女を温かく迎え入れた。 セピデーが予約していたヴィラは手違いで満室となっており、 海辺の朽ちかけた別荘に案内される。 別荘は何年も使われていなかったが、 そのロケーションに誰もが夢中になり、休暇を楽しんだ。 しかしエリだけはよそよそしい態度を取っていた。 彼女が携帯で母親と話す態度や、着信を取らない様子に、 アーマドは違和感を覚える。 2日目の朝、エリは1泊の予定だったので 帰りたいとセピデーに申し出る。 アーマドとの関係がまだ深まっていないことに焦ったセピデーは、 強引に彼女を引き止める。 エリは思い詰めた様子で、海を見つめるのだった。 男たちがビーチバレーに興じ、 女たちが食事の支度をしていると、 ショーレとペイマンの子アラーシュが海で溺れてしまう。 アラーシュは助けられ、九死に一生を得るが、 そのときエリが消えていることに気づく。 海難救助隊が出動しても、エリの行方はわからなかった。 彼女の痕跡はどこにも残っておらず、 彼女の正式な名前すら誰も知らなかった。 やがて明らかになる真実は、 セピデーと友人たちは苦しめていく。 ------------------------------------------- ■感想 イスラム圏の女性は 常にスカーフ、チャドルを装着しているので 日常的にもとても制約があるのではないかと思っていました。 でもトンネルの中を走る車から 身を乗り出して叫ぶ女性達の姿からの始まりで 宗教が強い国でも開放感を感じて表すのは 同じなんだなと思いました。 女性も車を運転し、 快活に行動しスポーツをし、 お酒を飲み冗談を言いふざけ合い、 一見それほど制約があるようには見えませんでした。 でも一旦問題が起きると 表面的に隠されていた問題が露にされて どんどん膨れ上がって行く様子が恐かったです。 日常が一瞬にして非日常になる。 これほど恐いことはないです。 俳優さんたちが上手で ドキュメントみたいにリアルでした。 セビデーがどんどん追い詰められて行くのが 表情や外見にも表れていて 落胆と自己嫌悪と恐怖と怯えが見えて 凄いと思いました。 でもこのDVDは「サスペンス」の棚にあったので イランのサスペンスってどんなもの? とワクワクして見たので、 始めはイランの文化に触れて珍しいと思いながら見ていて 後半になると哀しい・不安・恐怖・落胆が 雪崩のように押し寄せるので疲れました。 実に丹念に状況が描いてあり 妙な切り張りもこれ見よがしな編集もないけれど 荒れた海を泳ぐシーンや探し回る様子は 息が苦しくなるほどリアルでした。 イスラム圏の文化には疎いので 色々知る事が出来ました。 今思い出したのですが 母の親しい友人がイラン学の教授で 本も出版されていて 私もいただいて読んだり 講演を聞きに行ったりしたのでした。 若い頃に留学された時の本などは イランの文化に触れた瑞々しい驚きや 若い女性が男性社会に入って行く時の 柔軟性に溢れていて面白かったです。 50年ほど前の頃から比べると 現在のイランは 女性が外に出るようになったようだと思いました。 だけど男性達がバレーボールを楽しんでいる時に 女性陣は子守や買い物や家事に勤しんでいたので やはり役割はハッキリしているのだと思いました。 ネタバレに近付くので余り書けないですが 女性が求められているものは 私が若い頃に反発していたものばかりなので 見ていて複雑な思いがしました。 この映画は人間の情感を豊かに描いている 素晴らしい映画だと思いましたが ミステリほど起承転結がハッキリしていないので やはりミステリが好きだと激しく自覚しました(^^ゞ ミステリって良いですね( ̄ー+ ̄)ニヤリ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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