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テーマ:読書メモ(89)
カテゴリ:本
「娘を呑んだ道」スティーナ・ジャクソン著
訳=田口俊樹 「THE SILVER ROAD」Stina Jackson 【中古】文庫 ≪海外ミステリー≫ 娘を呑んだ道 【中古】afb ■あらすじ 三年前、スウェーデン北部の村で 十七歳の少女リナが失踪した。 地元の高校で数学を教える父親のレレは、 今も単独で娘の捜索を続けていた。 同じ頃、村に流れ着いた母娘がいた。 母親が男を変えるたび、 娘もメイヤもあちこち転々としてきたが、 これほど遠くまで来たことはなかった。 その夏、リナが失踪した国道からほど近い場所で またひとりの少女が消えた。 この事件をきっかけに、 レレとメイヤの運命が大きく動き出す。 スウェーデン推理作家アカデミー 「最優秀犯罪小説賞」、 「ガラスの鍵」賞、 スウェーデン「ブック・オブ・ザ・イヤー」 に輝いた傑作スリラー! ■感想 北欧の、デリケートでしっかり作り上げられたミステリを 読みたいと思って借りてみた。 思った以上に繊細で緻密だった。 冒頭は、3年前に失踪した娘を探して、 夜間になると車で国道を走りまわる 高校教師のレレの様子が淡々と描かれている。 あの時こうしていれば、 こうしていればと毎日毎日 己を責め続け、 妻と離婚して一人で探し回る。 濃密な悔恨の夜は巡り、 娘を求めるレレの心の叫びはつぶされて朝になる。 次に出て来たのは、 母親がネットで知り合った男の家にやって来た メイヤの話だった。 初めての田舎に戸惑い、 母が男に出会っては別れる 流浪生活に突き合わされて疲れ、 いつも絶望と諦めと渇望に喘いでいるような少女だ。 レレとメイヤの視点が丁寧に描かれている。 それは苦しく、 先の破綻が見えているような事ばかりで、 読み進めるのに苦労した。 人の思いがしっかり描かれているけれど 苦しいお話だった。 文章も構成もしっかりしていて その点では読みごたえがあった。 最後の希望が救いだった。 でも、暗くて次作は読みたくはない。 病人が冬に読むには堪えた。 ―2021年1月25日頃読了― お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
April 10, 2021 08:32:17 AM
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