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December 31, 2021
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テーマ:読書メモ(89)
カテゴリ:
『少年時代』上下 ロバート・R・マキャモン著
BOY'S LIFE 二宮磬=訳 1999年2月10日 文藝春秋
●1991年度ブラム・ストーカー賞受賞
●1992年度世界幻想文学大賞受賞
(ブラム・ストーカー賞とは
 アメリカ合衆国のホラー作家協会が毎年主催する、
 その年に出版された最も優れたホラー小説、
 ダーク・ファンタジーなどに贈られる賞。
 1992年度世界幻想文学大賞受賞とは1975年に創設された、
 ファンタジー作品を対象としたアメリカ合衆国の文学賞。
 SFやホラーも視野に入れている。
 スペキュレイティヴ・フィクションに与えられる賞としては、
 ヒューゴー賞・ネビュラ賞に並ぶ三大賞のひとつと見なされている)
●訳者紹介
1945年静岡県生れ。慶応大学卒。
主な訳書に、ジャーキンス『いたって明解な殺人』、マキャモン『少年時代』、
キング『ジェラルドのゲーム』、トゥロー『囮弁護士』『無罪』などがある。
にのみやけいと言う名前は路線図と辞書を調べてつくられたペンネーム。
法学部出身。
tj早川書房で『SFマガジン』【世界SF全集】などの編集を担当。
のちに集英社系列会社に移り、28歳の時に角川書店に入社して
15年間下訳と編集の腕を磨いて翻訳一本の道に入った。
■上のあらすじ
十二歳のあの頃、世界は魔法に満ちていた―
1964年、アメリカ南部の小さな町。
そこで暮らす少年コーリーが、
ある朝殺人事件を目撃したことから始まる冒険の数々。
誰もが経験しながらも、
大人になって忘れてしまった少年時代のきらめく日々を、
みずみずしいノスタルジーで描く成長小説の傑作。
日本冒険小説協会大賞受賞作。
■下 あらすじ
初恋、けんか、怪獣に幽霊カー。
少年時代は毎日が魔法の連続であり、
すべてが輝いて見えた。
しかし、そんな日々に影を落とす未解決の殺人事件。
不思議な力を持つ自転車を駆って、
謎に挑戦するコーリーだが、
犯人は意外なところに・・・・・?
もう一度少年の頃のあの魔法を呼び戻すために読みたい
60年代のトム・ソーヤーの物語。
■感想(自分用なので終わりの方でネタバレが沢山)
いやあ、ずっとワクワクドキドキが止まらない
楽しくて不思議で愛情たっぷりの特別な1冊だった。
若い頃に出会っていたら、
私の最高の親友になったろうなあ。
1964年のアメリカ南部アラバマ州、
人口1,500人の小さな町ゼファーに住む
11歳の少年コーリーは
3月の早朝、父の仕事を手伝うために
ピックアップトラックに乗っていて
事件に遭遇した。
この素晴らしい物語は、
39歳になったコーリーが
1964年の3月から1965年1月までの
11歳から12歳になった11か月間の思い出を
一人称で綴った形になっている。
今から57年前の田舎町ゼファーの様子は
序章の部分に書いてあり、抜き出すと
「どの家にもテレビがあるわけではなく、
ブライト・スター・カフェ、ウールワース、
小規模な食糧雑貨店、理髪店。
郡内はアルコール禁止で、
密造酒業が繁盛していた」
とあり、
当時の日本の田舎町より 
格段に豊かで進んでいる様子が分かる。
どの家にも車や電子レンジがあるあたりの
電化製品の普及率と生活レベルはだいぶ違うようだ。
だけどアメリカの田舎の人々の間にも
暖かい思いやりや倫理観があり、
世界は今よりずっとおおらかな時代だった。
マキャモンがこの作品を書き上げたのが1990年。
2021年からは31年前。
そうか、1990年が30年も前の事なんだと感慨深い。
アメリカも日本もその頃は、
レベルの差はあれども
善良で誠実で真面目なのが当たり前とされていた時代だったと思う。
田舎ではどの家も鍵をかけていなかった。
その頃の私はラーを育てていた。
宗教も曹洞宗からクリスチャンになって勉強勉強の日々であり、
世俗から離れて子供番組しか見ておらず、
本も読まず音楽も聴かず、
ただただ必死にお母さんをしていた。
今思うと近視眼的な追い詰められ方をしていて、
多分もう甲状腺癌の影響でホルモン異常になっており
体調不良に苦しみ始めた頃だった。
動けは疲弊して慢性疲労症候群の状態だったし、
泣きながら寝転がっていたなあ。
ラーの小学校の入学式には行けなかった。
人間の事も健康や病気の事も知らなかった。
小さな意識で生きていたなあ。
でも一度欺瞞に目覚めてしまったからので、
この世界の毒々しい利己主義の牙から
いかに身を守るかにかかっている現状では、
ゼファーの人々の暮らしは
気持ちが暖かく安心感のある物語だった。
郷愁が刺激されてとても複雑な気持ちになった。
とは言え、ホラーとされている事もあり、
不思議な展開が沢山待ち受けている。
それも楽しくて、ワクワクしながら読んだ。
笑いながら驚く展開が沢山あって、
全く飽きずに楽しく読み通せた。
殺人事件の他にも沢山の謎や不思議が盛り沢山で、
コーリーと一緒に冒険をし、
何度も命がけの危険を乗り越えたり、
不思議な体験や町内のイベントを楽しんだりした。
少年が見ている世界を味わう事が出来て楽しかった。
コーリーは素直で正直で誠実で
夢想家で友情に篤く、
頑張り屋で観察力と洞察量に富んだ
ちょっと控えめで内向的な
豊かな心の少年で大好きだ。
主人公が好きかどうかで、
その本が心に残る位置が変わるよね。
第一、コーリーは誠実で暖かい両親に愛されている。
愛されている子供がどれほどのびのびと生きて育つのか
改めて提示されたように感じた。
私が愛されたらどんな生き方をしたのだろうか?
伯母が穏やかな環境で育ったら、
統合失調症にはならなかったのではないか?
父があんなに我慢の人生で
早く亡くならずに済んだのではないか?
などなど、だいぶ振り返りの多い一冊だった。
手元に置いて、時々自由に空を飛んでみたいと思った。
誠実で正義感の強いお父さんが
殺された人の夢を見続けて心が蝕まれて行く様や、
特別な力を持つ黒人のザ・レディとその夫ムーン・マン達との交流。
町の理髪店主のおしゃべり。
牧師とピアノを弾く老嬢と教会での騒動。
暴力でのさばる悪ガキ達。
天才野球少年の悲哀。
川に棲むオールド・モーゼズの伝説。
不思議な自転車ロケットとの出会い。
なんと言っても夏休みが始まる前日の
親友たちと犬たちで空を飛んだ俯瞰!
自分の住む町を俯瞰するなんて。
今も想像するだけで心は空を舞い
ワクワクしてしまう。
こんなに心を飛ばしてしまえる小説は
なかったのではないかな。
最後に、なんでも直してしまう
マーカス・ラットフットに会えたのは
最高のプレゼントだった!
でも一番気になっていたヴァーノンが
どこでどうしているのか知りたかったなぁ。
他にも伝説のガンマンが出て来たり、
キャラの立った面白い人が沢山出て来る。
160人以上の登場人物で彩られる話。
希望のある終わり方で、何もかも楽しんで面白かった。
手元に置いておきたい最高の一冊だった。
アマゾンのレビューで楽しい感想を書いていた人がいた。
少年の頃に読んで、コーリーと共に時代を経験したそうで
それはそれは素晴らしい少年時代だったろうなぁ。
すべての少年少女に読ませてあげたい一冊だった。
いやいや大人にも読ませてあげたい最高の一冊だった。
そして全ての功績は翻訳者の二宮磬氏にあると思う。
愛情深い筆致で暖かい眼差しが感じられる。
楽しまれたのだろうとも思う。
本全体に豊かな愛情と暖かさと優しさと広い視野が感じられる。
英文を日本語に置き換えるのは、
想像が付かないくらいに至難の業だと思う。
良い翻訳者さんに出会えたのも、この本の力だろうなあ。
―2021年11月中頃読了―
●世界幻想文学大賞受賞で読んだのは
2002年 長編 『アースシーの風』The Other Wind, アーシュラ・K・ル・グイン
2006年 長編 『海辺のカフカ』 村上春樹
しかなかった。





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Last updated  December 31, 2021 12:48:19 PM
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