「湿地」アーナルデュル・インドリダソン著 読書メモ
「湿地」アーナルデュル・インドリダソン著柳沢由実子=訳 東京創元社【中古】 湿地 創元推理文庫/アーナルデュル・インドリダソン(著者),柳沢由実子(訳者) 【中古】afb■あらすじ■雨交じりの風が吹く、10月のレイキャビィク。北の湿地(ノルデュルミリ)にあるアパートで、老人の死体が発見された。被害者によって招き入れられた何者かが、突発的に殺害し、そのまま逃走したものと思われた。ずさんで不器用、典型的なアイスランドの殺人。だが、現場に残された3つの単語からなるメッセージが事件の様相を変えた。計画的な殺人なのか?しだいに明らかになる被害者の老人の隠された過去。レイキャビィク警察犯罪捜査官エーレンデュルがたどり着いた衝撃の犯人、そして肺腑をえぐる真相とは。世界40カ国で紹介され、シリーズ全体で700万部突破。ガラスの鍵賞を2年連続受賞、CWAゴールドタガー賞を受賞した。いま世界のミステリ読者が最も注目する北欧の巨人、ついに日本上陸。■感想■アイスランドのミステリを初めて読んだ。まずはグーグルでアイスランドと首都のレイキャビィクをチェックする所から始めた。人名が男性なのか女性なのか分からず混乱して調べると、アイスランドはファーストネームが正称で公式に使われており、ファミリーネームはなくて父親の名前や母親の名前が使われるらしい。○○の息子とか娘と使われる事が解ると、名前に性別があまり反映しない理由が分かった気がした。気候や地理も分からないのでウィキペディアで調べた。始めはグーグル地図と首っ引きで読んだ。色々と新鮮な経験をした。ストーリーはエーレンデュルの地道な捜査が黙々と描かれており好感が持てた。少しずつ見えてくる事件の意味。その裏に潜む大きな嘆き。アイスランドでは単純な殺人が多いそうで、この小説を書いたアーナルデュル・インドリダソンが初めてのミステリ作家だそうだ。殺人事件に対する生真面目な取り組みが国の事情を浮かばせる感じがした。アメリカとは対極にあると感じた。色々と初めての経験をした。■アイスランド情報■アイスランドはファーストネームが正称で姓の方は一般に使われない。、電話帳もファーストネームで登録されている。政治家も作家も、初めて会う人もみなファーストネームで呼ばれる。主人公はエーレンデュル男性。登場人物のシグルデュル=オーリ、ラグナール、ホルベルク、エルーナル、エットリデ、グレータル、エイダール、アルベルト、シンドリ=スナイル、マリオン=ブーム、カートリンは男性。エーリンボルク、コルブルン、ウイドル、エーリン、クラーラ、ハンナ、エヴァ=リンド、ベルクソラ、ディサ=ロースは女性。アイスランドにはファミリーネームという概念はなく、インドリダソンとはインドリの息子と言う意味。アイスランドは多くの火山が存在し、温泉も存在する他、豊富な地熱を発電などに利用し、水力発電とで100%自然エネルギーによる電力を実現している。930年に発足した世界最古の民主議会「アルシング」は王による統治ではなく、民主的な合議による自治を目指した。●面積・102,828km2(105位)、 日本の北海道と四国を合わせた程度の面積。●人口・31万9,575人(170位)。 人口密度は3人/km2。私の住む塩釜市は東北で一番の人口密集地である。塩釜市の人口密度は3,080人/km2。なんと塩釜はアイスランドの3千倍の密集度!日本の人口は1億2,686万人。人口密度は340.8人/km2。面積は377,972.28km2。アイスランドは3分の1ほどの面積だ。東京都の面積は2,188 km2。人口は1,368万6,371人。人口密度は6,250人/km2。アイスランドはおおよそ東京の5倍の広さの国で人口は東京の4分の1。