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カテゴリ:本・映画など
いつも応援していただき、ありがとうございます。 先週末から顧客満足(CS)関係に没頭しています。 今週1週間で来年のCSに関する方向性をまとめたいなと 思っているためです。そこで専門の方にお聞きして おすすめされたのがNPSという指標です。 計測するのは、「満足度」ではなく、「推奨する度合い」であると。 ネット・プロモーター・スコアであると。 戦略系コンサルのベイン・アンド・カンパニーの フレッド・ライクヘルドさんの本を2冊読み終えました。 シンプルさを追求する私の感性にはぴったり合いました(笑)。 第1弾は、 『顧客ロイヤルティを知る「究極の質問」』です。 ================================== P3:顧客を喜ばせる「べき」かどうかが、企業にとって真の課題ではない。自社の製品やサービスを通じて、顧客に喜びを与えたいと望まぬCEOや幹部はいないのである。企業にとり真の課題は、どのようにして顧客の思いを「理解」し、また、どのようにして顧客体験に対する「責任」を明確にすることができるかということなのだ。従来の顧客満足度調査は、この目的にまったくそぐわない。質問が多すぎて、しかも役立つ情報がほとんど得られないのである。財務諸表にしても同じことが。従来の会計処理方法では、成長をもたらす良き利益の1ドルを、成長を妨げる悪しき利益の1ドルと見分けることさえできない。 P24:顧客とのリレーションシップを犠牲にして得られる利益が悪しき利益なのである。「だまされた」「不当な扱いを受けた」「無視された」「強要された」、顧客がこのように感じた行為から生じた利益は、すべて悪しき利益である。不公正であったり紛らわしい価格設定からも、悪しき利益が生み出される。お粗末な顧客体験を招いてしますような経費削減も同罪だ。悪しき利益は顧客かに価値をもたらさないばかりか、顧客から価値を搾取してしまう。 P47:悪しき利益の例。(1)商品やサービスとして明らかに問題や欠陥があるのを隠して販売する(マンションの耐震偽装問題) (2)法律自体には背反していないが、明らかに顧客の利害に反する行為(無理やり金融商品を販売するなど) (3)欠陥のある商品やサービスを企業側にその認識がなく販売 (4)顧客の弱みや無知につけこんで不当な販売条件をかす (5)特定製品やサービスのもたらす副作用やそれによって生じる社会問題に対する配慮や対策不足(自動車の公害や薬の副作用など) P93:高いNPS企業が成長することが理解されなくなってきた理由は3つある。(1)誤った効率主義である。かつての日本企業は手間を惜しまず顧客の要望を満たし、質の高いサービスや製品を提供することを得意としていた。バブル崩壊後、厳しいコストダウンと構造改革を余儀なくされ、日本企業に「効率」と「コスト優先主義」という価値観ばかりを醸成してしまったことである。(2)質の追求や顧客の要望を満たすことはコスト増につながるという誤解だ。たしかに製品を改良したり機能を追加したりすればコストはかさむかもしれない。しかし、こうした活動のかなりの部分が、実は大きなコスト負担なしにできるのもまた事実なのである。(3)人材の付加価値創出能力や対応能力に対する信頼が揺らいできたことである。従来の優れた日本企業は、社内の人材を活性化し、人材による創意工夫を大切にしながら組織を動かしてきた。バブル崩壊以降、改善を得意とした社員に経営の大胆な舵取りや部門横断的な取り組み方はなじみのないものだった。結果、企業が求めるスキルと社員のもっているスキルが一致しない事態が発生した。さらにリストラや報酬体系の改革などがマネジメント層と社員間の相互信頼関係を弱める結果を招いた。 P117:レンタカーのエンタープライズ社でNPS導入が成功した理由(1)自社に合った少ない調査(質問項目)を選択する (2)結果が日常活動に直接つながるように、できるだけ細かい単位で調査を行う (3)調査を見た時に出るであろう反論に対する反証や、そのための分析を準備する (4)得られたデータを「信じて」、結果を真剣に読み込む (5)当該指標を社内の重要なKPIに組み込み、数値の向上に対する会社としての並々ならぬ姿勢を示す (6)やりすぎるくらいに目標にこだわり、指標をオープンにしたり、社員どうしの相互評価を取り入れたりして、社員のマインドシェアの上位にNPS指標とその目的を認識させるようにする。 P134:顧客満足度を調査する目的を企業は混同してしまう。特定の取引に関して顧客の満足度を評価したいのだろうか。それとも、顧客リレーションシップの質を評価したいのだろうか。前者ならば比較的単純で、当該取引の調査を実施すればそれでよい。ところが、ある顧客と企業のリレーションシップを評価するとなると、その顧客の取引をすべて合計するだけでは済まない。感情やブランドがらみの諸要因に加え、認知、購入、価格、使用、サービスなど、顧客体験の一部始終が関係してくるからだ。個々の顧客接点の重要度は、顧客ごとに異なるものだ。そのため、ある場面や顧客接点を示して、それぞれの重要度と実際の満足度を評価するよう顧客に求める調査票もある。だが問題は、良い事件か悪い事件かは別にしても、何か驚くようなことがない限り、こうした質問に答えられる顧客はほとんどいないという事実である。 P137:企業が顧客満足度の点数を社員の報奨に連動させると、社員が点数そのものを目的化するようになることが多い。そして、顧客体験と顧客リレーションシップの改善にエネルギーと創造力の限りを尽くす代わりに、仕組みの裏をかくことに創造性を発揮してしまう。 P140:不満を持ったときこそ長期的な信頼関係を築く良いチャンスだ。煮え切らない「中庸の美徳」の客よりも、不満を強く抱いた顧客のほうが積極的な姿勢を持っていることは、NPSだけでなくほかの調査結果でも示されている。また、不満を持った顧客を発見したらできるだけ速やかに対応するよう心掛ける必要がある。 P143:測定の7原則 (1)「究極の質問」を尋ねる。それ以外の質問は極力減らす (2)有効な指標を選び、それを使い続ける (3)的確な顧客からの回答率を高める (4)財務データと同じ頻度で、顧客リレーションシップのデータを報告する (5)調査単位が細かいほど社員に責任をもたせられる (6)正確さを守りバイアスを取り除くために監査する(バイアスとは「報復の恐怖」「賄賂」「点数インフレ」 (7)顧客の採点と顧客行動との相関を実証する。(1)を好調するのは、マネージャーたちはどんな調査であっても、必ず質問を増やす誘惑に駆られるからだ。質問が多くなることで調査コストが増えたり、質問項目が増減することで点数が変動しやすくなり、信頼性が低下することもある。多くの質問の相関関係を議論するために過大な時間とエネルギーを費やす羽目になる。本来ならば、ターゲット顧客への対応を改善するために使えたはずの時間とエネルギーである。顧客が感じていることをより深く理解したいのなら、特定の顧客グループを対象にした討論や対話の場を設けるほうが得策である。インテュイットの創業者は「当社には調査がそれも長過ぎる調査があふれています。本当に必要なのは、みずからお客様と接し、その声にしっかりと耳を傾けたうえで、フィードバックに対処するようなマネージャーを増やすことです。発送する調査票を増やせば、お客様を重視しているような錯覚に浸れるかもしれません。しかし、それはお客様と面と向かって接することを嫌がる上級幹部たちの、責任逃れの常套手段にすぎません。 P166:NPS調査ではごく限られた質問にとどめ、もしさらに聞きたい質問があるのなら別の調査を行ったほうがいいだろう。NPS調査で追加で尋ねてもよい唯一の例外は、「クロス分析(質問枝同士の相関を測るための分析)」すなわち、NPSとの相関を知るためにどうしても確認しなければならない最低限の質問のみである。 P193:推薦者の獲得には、顧客の「頭」と「心」の両方を満足させる必要があることは、NPSが伝えてくれる大切なメッセージの一つであり、製品にもサービスにもあてはまる考え方である。ここで「頭」とは、性能やサービス内容、価格、品質といったいわゆるハードな要素のことだ。一方の「心」とは、「自分を心地良くしてくれる」「自分の感性を満たしてくれる」「この会社は自分のことをよく知ってくれている」「自分を大切に考えてくれている」「自分の声に耳を傾けてくれる」「自分と価値観を共有してくれる」といったソフトな要素である。数多くの選択肢や氾濫する情報にさらされている顧客に対し、このような要素を的確かつスピーディに顧客に訴求できるかどうかが、勝敗を分かつポイントとなる。 P243:事実を申し上げれば、規則の強化など無用である。成文化された規則ならすでに山ほどある。コンプライアンス委員会や企業倫理の授業も、これ以上はもう必要ないだろう。しょせん、真実から目をそらすことなど造作もないからである。われわれが本当に必要としているものは、黄金律に実践する企業には自由市場が報い、黄金律に従わない企業には自由市場が罰を与えることを可能にするような、単純で信頼できるフィードバック方法なのである。ある企業に惚れ込む顧客や、逆に毛嫌いする顧客の人数を測定するために、つねに同じ基準で収集し報告される単純で信頼に足る指標が必要なのである。経営幹部をはじめ、社員、投資家、顧客自身など意思決定に関与するすべての人間を駆り立てて、半倫理的行為と悪徳幹部を排除し、問題を解決し、そして、顧客を喜ばせる新たな方法を探求するように仕向けてくれる単一の指標を、われわれは必要としているのである。 P258:米レンタカー大手エンタープライズの社長のテイラー氏は語っている。「あの単一の指標は、もはや単なる数字ではありません。真実に至る道になったのです」 ================================== あなたは、ビジネスでどこまで顧客リレーションシップを大切にしていますか? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Dec 12, 2014 11:27:01 PM
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