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カテゴリ:本・映画など
いつも応援していただき、ありがとうございます。 顧客満足度第2弾は、昨日同様、フレッド・ライクヘルドさんの 『ネット・プロモーター経営』です。 第1弾と違って、NPSのSを「スコア」から「システム」に 変更している点が興味深いです。 確かに個人的にも会社の経営システムに組み込むことで効果が出てくるもの だと思うので、システムのほうがしっくりきますね。 ================================== 『P2:まずは顧客満足度の新指標として注目を集めたNPSだが、その本質は顧客からのフィードバックに真摯に向き合い、組織を徹底した顧客志向に変えていく「クローズド・フィードバック・ループ」の運用にある。そういった意味で、成果に繋がるNPSとは「ネット・プロモーター・スコア」ではなく「ネット・プロモーター・システム」であると我々は定義した。 P21:企業は、批判者が失望した根本原因を理解した上で、謝罪して、その問題を解決する方策を講じなくてはならない。しかし、批判者の不満に対して経済合理性のある解決策がないとしたら、企業はそもそも、この種の人々を顧客にしないようにすべきだ。 P22:NPSは単純明快で、パワフルで、わかりやすく、純利益や正味価値に似た実用的な数字で表される指標である。 P30:従業員のロイヤルティを獲得することが企業哲学と戦略上の優先事項の中心となっていない場合、新たな顧客フィードバック・プロセスをいくら取り入れても、ほとんど意味がない。(中略)手始めに、「なぜそもそも企業は、顧客など自社を取り巻く人々が思っていることを気にかけていなければならないのだろうか」と自問してみてほしい。(中略)NPS調査の目的は、人生哲学について高尚な議論をするためではなく、成果に結び付くための顧客の分類と、行動に結び付く指標を生み出すことに尽きる。それは、ビジネスにおける顧客リレーションシップをより良くするための現実的な手段なのだ。 P76:その企業が自分を個人として認識し、理解し、尊重し、意見に耳を傾け、信条を分かち合っているという確信を、顧客が持てなければならない。つまり友人が優れた価値を得られるというだけでなく、その企業が友人を大切にしてくれると確信できなければならない。だからこそ「薦めますか」という質問で、これほど適切にリレーションシップの質を測れるのだ。この質問は、理性と感情の両方の側面を試すものである。 P86:「世の中には顧客に関するありとあらゆる指標で溢れかえっています。しかし、そうした数字の力では、顧客を大切にするという私たちの基本的価値観に向かって全社一丸で取り組んでいくことはできませんでした。追いかける指標が増えるほど、個々の指標の意義は薄れていきます。単一指標という考え方は、顧客にとっても、従業員にとっても、投資家にとっても、計り知れないほどの恩恵をもたらしてくれました。 P124:エンタープライズ社のNPSの取り組み3つ。第一段階では、NPSの点数と社内の表彰制度を連動さあせた。第二段階では、NPSを強調する月次の業務報告を再設計し、純利益の数字の隣に支店のNPSの点数を載せた。第三段階では、とにかくコミュニケーションを徹底するため、社内で話をするときは必ずNPSを主要テーマとした。 P139:真に顧客志向を目指すのであれば、信頼性の高い財務報告書を作成するのと同じくらいの努力が必要なのである。この点についてはやや謙虚に考える必要がある。会計基準は過去数百年もかけて進化し、膨大な書物に収められ、それでもなお、いまだに改定が行われており、また粉飾を完全に回避できていない。顧客リレーションシップにおける同等の厳密さでの測定方法はまだ始まったばかりだ。そのため、広く認められる基準になるまでには、もう少し試行錯誤が必要なのは致し方ないことである。 P141:NPSに関する限り、すべての追加質問は複雑さを増す原因となり、不要な追加コストを生み出してしまう。(中略)。顧客がつけたスコアの理由を深く知りたいなら、最高の方法は、担当マネージャーや現場の責任者が電話もしくは電子メールで回答者に連絡し、個別の対話の場を設けることだ。グループで討議できるフォーラムも同じく効果的である。 P175:NPSを通じて企業を「フィードバック志向」に変えるための重要なポイントは次の三つである。 (1)今なぜNPSの取り組みが必要かを、経営課題の観点から経営トップが最初に組織に対してコミュニケーションし、その後もトップ、経営幹部が率先して顧客の声に触れ続ける。 (2)推奨者をどう増やすか、どう顧客を喜ばせてファン顧客を増やすかに、より焦点を当てる。 (3)結果責任を個人・事業単位が感じ、継続的改善に繋げられる仕組みをつくる。 P213:リーダーとそのチームが一貫して人々を正しく扱うとき、そして正しい行いをしていると信頼されるときに初めて、組織は本当にロイヤリティに値するようになる。(中略)偉大な企業は通常、偉大な価値観を持ち、それに向けて真摯に取り組んでいる。そうした企業は顧客のために正しいことをしたい、働く場所を素晴らしいものにしたいと思っている。株主に対するのと同じように、コミュニティのためにも貢献したいと思っている。そうした価値観は、ミッションやビジョン、存在理由の一部になっている。 P215:組織全体で毎日のように、大なり小なり、組織にとって重要な様々な意思決定が行われています。ネット・プロモーターの素晴らしいところは、複雑な問題を単純化し、人々が正しい意思決定をする助けになることです。NPSによって、これはお客様にとって適切な行動だろうか、我が社にとって経済的に適切だろうかと、常に自問するようになるのです。 P218:アップルでは、店長が24時間以内にすべての批判者に電話をかけることになっている。だが、中にはどうしても連絡のとれない人もいる。そこでアップルは、店長から連絡の取れた批判者と連絡のとれなかった批判者の購買パターンを追跡することにした。(中略)アップルをはじめとする一部の企業では、従来のアプローチを見直し、顧客NPSを従業員NPSと統合させている。「働く場所としてこの企業を薦める可能性は、0~10点で示すとしたら何点ですか?」 P222:解約手数料や不当な契約、搾取的な価格設定などからもたらされる悪しき利益は通常、短期利益を追求するプレッシャーから、企業のオペレーションに忍び込んでいく。そうすれば当面の間、企業の最終利益は押し上げられるからだ。だが、悪しき利益は顧客を遠ざけ、ますます批判者を増やしていくことになる。長期的に見れば、顧客ロイヤルティによって得られるはずの経済面での好循環を徐々に弱め、従業員のやる気も奪ってしまう。利益のために恥ずべき方針や業務をしなければならないとき、人々の活力や関与度合いは減退する。 P266:究極の質問は、「◯◯を友人や同僚に薦める可能性はどのくらいありますか?」。批判者にはそのスコアをつけた理由を、中立者には10点をつける、つまり推奨者になってもらうためには何が必要かと尋ねる。推奨者には、他の人達に◯◯を試すように薦めるときに、どんなことを話すかを尋ねるのである。様々な顧客体験の領域でどのようなサービス向上が自分にとって優先事項がを知ることができる。手短に言えば、何が顧客を最も喜ばせるかを明らかにしていくのだ。 P267:結局のところ、顧客に喜んでもらうための最も強い要因の一つは、企業がきちんと話を聞き、不満や提案に応えることだ。そうした取り組み姿勢は同社が顧客を重視しており、大切にしていることの証明になる。それが、顧客と良い関係を築くための基本的な必要条件となる。◯◯が本気で彼らの懸念事項に耳を傾け、解決したいと思っていることが明らかになると、主な批判者の多くは推奨者となった。 P329:NPSに関するもうひとつの教訓は、顧客のために価値を生まない活動をすべて減らすことである。すべての質問や調査を、この基準を用いて検証したほうがよい。もっと短く、簡単に出来ないだろうか。調査は必ずといっていいほど、質問数の増殖に悩まされるものである。この傾向を克服するためには、強い抵抗の意志が必要となる。 P334:グレアムは「毎朝起きてネット・プロモーターの鏡をのぞき込むのはとても勇気がいることです。なぜなら、どれだけ偉大さに近づいているか、どれだけの人々の生活を豊かにしているかが、スコアカードに映し出されるからです。NPSが測定しているのは『偉大さへの根本的な探求』である。NPSは、困難な偉大さへの道のりをほんの少し容易で現実的なものにしてくれます。経営陣は、どこで成功し、どこで失敗しているのかを日々理解できるようになります。ひとりの顧客とひとりの従業員とを同時に見ることができるのです。毎日の積み重ねが、自分たちのチームや仕事、生活にとって望ましい財産となっていくことを確信させてくれるもの、それがNPSです」 P334:ビジネスにおける成功と人生における成功には、自分を取り巻く人々や彼らとの関係にどのような影響を与えたのかが反映される。だが、主に既存の財務指標で自分の成功を判断する人々があまりにも多すぎる。そのせいで、顧客志向や、相手に対し自分がして欲しいように接するという本質的な道のりから離れていってしまうことが多すぎるのである。自分の目標が、関係する人々の生活を豊かにすること、そして顧客ロイヤルティと呼ぶに値する素晴らしいリレーションシップを築くことであるのなら、体系的な方法でネット・プロモーターを導入することで本当に重要なことを測定できるようになる。そうすれば、正しい道のりに戻ることができる。 ================================== あなたは、CSを経営システムの根幹に組み込む勇気がありますか? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Dec 12, 2014 11:29:46 PM
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