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カテゴリ:本・映画など
いつも応援していただき、ありがとうございます。 CS第6弾です。 ハーバード・ビジネススクールが教える顧客サービス戦略です。 なかなか考えさせられる内容でした。ブルーオーシャン戦略と同様、注力することと捨てるところの見極めをすること、つまりは『戦略』の大切さと、『コスト削減とサービス向上』をいかに同時に成し遂げる戦術を実行できるかが大切だと思いました。 =============================== P11:利用者があまり重んじていない側面につぎ込む資金や人手を減らし、利用者が最も重視している側面に集中的につぎ込むべきだと考えていたのだ。どこで妥協すれば、どこでサービスの質を高められるかという点について、部下たちの説明を聞くと、彼らはようやく納得した。「わかったよ。たしかに、そうすれば素晴らしいサービスを提供出来そうだ」(中略)スタッフに超人的な犠牲を強いるような仕組みは長続きしない。重要なのは、花形スタッフだけでなく、誰もが日々の定型業務を行うだけで、おのずと質の高いサービスを提供できるようなサービスモデルを設計することだ。そういうシステムを築くうえで避けて通れないのが、最も重要な要素以外を切り捨てることなのである。(P139)サービスの質を落とす側面を意識的に決めること。(P73)並外れたサービスを実現するうえで最大の障害となるのは、偉大であろうとする野心の欠如ではなく、質の低いサービスをおこなう勇気の欠如だ。これは、情緒的な障壁と言っていい。 P17:卓越したサービス=設計×文化(決して人的能力ではない) P40:(陥りやすいのが)、すべての面で卓越したサービスを提供しようとするが力及ばず、結局はすべての面で中程度のサービスをおこなう、というパターンである。 P42:速さ、高品質、低価格の三要素のうち、顧客が実際に得られるのは二つだけというのが常識だ。これは「不可能の三角形」と呼ばれている。 P57:重要なのは、顧客の話を聞くことだ。どういう理由であなたの会社のサービスを選び、別のどういう理由で他社のサービスを選ぶのかを顧客に尋ねる必要がある。(中略)現実離れした認識をいだいてはいけない。現実を見失わないためには、たえず顧客と対話を続けるのが一番だ。 P74:マーケティング・セグメントとオペレーティング・セグメントの違いはきわめて重要だ。マーケティング・セグメントは、さまざまな顧客層を分類し、それぞれに応じたはたらきかけを行う手がかりになる。一方、オペレーティング・セグメントは、顧客のニーズに応じて異なる働きかけを行う手がかりになる。この二つのセグメントが完全に重なり合うことはほとんどない。 P74:サービスの質を高める方法は主に二つある。一つは、顧客の既存のニーズに合わせてサービスの質を高めるという道。もう一つは、自社がすでに高いレベルに達しているサービスを望むように顧客の嗜好を変えるという道だ。 P84:真のロイヤルティ・プログラムは、最良の常連客に特別のサービスを提供するプログラムと定義できる。特別なイベントに招待してもいいだろうし、会社の経営陣と対話する機会を設けてもいいだろう。こうした特別サービスのおかげで、顧客ロイヤルティ(忠誠心)が高まり、その会社に金を払おうという意欲も強まる。「片思い型奉仕」の要素はまったくない。(現実には、常連客向けの割引など、顧客をつなぎとめるために企業が金を払っているにすぎないケースがきわめて多いが、本当の意味でのロイヤルティ・プログラムは別である)★ P89:保険会社のプログレッシブ社は、自動車保険業界では保険料収入100のうち、15が保険詐欺と訴訟の費用であることに目をつけ(つまり、主要なコスト発生源)、事故直後に査定担当者自らが現場に駆けつけ、鋭く目を光らせ、温かい心をもって接することで、こうしたコストを大幅に減らすことに成功。顧客から見たサービスの充実とコスト削減の両立を成し遂げた。 P102:卓越したサービスを目指すのであれば、セルフサービスを通じて顧客が幸せな気持ちを味わえるようにするべきだ。航空業界の無人自動チェックイン発券機はまさしくその典型。(P115)顧客がフルサービスよりセルフサービスを好むようにしなくてはならない(つまり別指標で満足する顧客体験を提供すること) P114:顧客に喜ばれても、わざわざ金を払おうと思ってもらえないようなサービスを提供することは避けたい(結婚式で言うと、他人に語ってもらえるストーリーにならないサービスは不必要ということか?) P114:最高水準のサービスを継続的に提供するための予算をまかなう方法には、次の四つのパターンがある。ビジネスの設計で手っ取り早いのが(1)、最も手堅いのが(2)と(3)、目覚ましい効果が期待できるのは(4)。 (1) 顧客に上乗せ料金を支払わせる。 (2) コスト削減がサービス向上につながるようにする。 (3) サービス向上がコスト削減につながるようにする。 (4) 顧客に仕事をさせる。 P122:サウスウエスト航空では、グループ単位で採用面接を実施し、人生で最も恥ずかしかった経験を語るよう求める。理由は、他の求職者が語り手を気の毒に思っているかどうかを見極めるためだ。顧客に奉仕できるかどうかは、共感の精神だから。 P148:時間が立つにつれて、従業員の能力向上より業務の複雑性が増している場合は、ギャップが生じている。 P152:業務を単純化するにはどこから手をつけるべきか。 高 | | ◯ ☓(ここから始めてはダメ) 業務の複雑性| | 低 |_____________ 低 高 顧客にとっての直接的価値 P163:コストとサービスの質の二律背反を克服する。 高 | | ◯ 普通(適応戦略) サービスの質 | | 普通(削減戦略) - 低 |_________________ 低 コスト 高 ◯:コストをかけない「適応戦略」 or サービスの質を妥協しない「削減戦略」 P206:人間という要素をないがしろにすると、優れた設計が引きだそうとする感情とは正反対の感情が生み出されてしまう。 P220:様々な組織で見られる文化的要素の一つが、非生産的な恐怖だ。能力が乏しいと思われたり、間違った行動をとっていると思われたりすることへの恐怖である。そうした恐怖を取り除くだけでも、従業員の創造性と参加意識を解き放つことができる。私たち人間は、警戒して保身ばかりを考えているときに、能力を最大限発揮することはできない。 P220:従業員と取引業者と顧客が幸せになることは、市場で傑出した存在で在り続けるための最も確実な道だと、ザッポスの人々は理解している。(中略)「ハッピーな人を雇って、その後もハッピーでいられるようにしているだけですよ」そう、お安い御用だ。「企業文化に揺さぶられるような人」を雇えばいいだけのなのだから。 P240:改めたいのは特定の行動パターンだろう。そうであれば次のように自問すればいい。 ◯問題のある行動は、どういうものか? ◯その行動を生み出している「共有された基本認識」は、どういうものか? ◯その基本認識を改めるためには、どうすべきか? (現象を改善するのではなく、現象を生み出した価値観や文化を改善していく) P251:顧客をないがしろにせよ、と言っているのではない。重要なのは、顧客の声に耳を傾け、カスタマイゼーションをおこなうべきかどうかを戦略的に判断することだ。本当の価値を生み出し、それにふさわしい料金を受け取ることができて、しかも事業運営に過大な負担をかけないのであれば、カスタマイゼーションを行えばいい。 P255:私たちは、サービスをコストと考えていない。投資だと思っている。 P286:社内サービスの共有化を成功させるために、強権的なリーダーが必要だとまでは言わないが、私たちの経験上、それに成功している企業では、リーダーが社内の実力者たちの不興を買うことを恐れていないケースが多い。実力者たちが権限の見直しに反発しても、リーダーは毅然とした態度を貫く。にっこり微笑みながらきっぱりと方針を言い渡す場合もあれば、しかめ面をしてみせる場合もある。あるいは、そもそも他人の反応など気にせずに、変革を推し進めるリーダーもいる。いずれにせよ、強い姿勢で線引をおこなう。 =============================== あなたは、フルサービスを追い求めていませんか? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jan 17, 2015 01:47:15 PM
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